研究領域 | ミクロからマクロへ階層を超える秩序形成のロジック |
研究課題/領域番号 |
23127504
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
鈴木 孝幸 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教 (40451629)
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キーワード | ニワトリ / 肢芽 / 階層性 / 定量 / 形態形成 / シグナル伝達 / 発生 / シミュレーション |
研究概要 |
本研究では、グローバルな細胞集団のふるまいと器官形成の間をつなぐロジックを解明する為に、細胞集団が受け取るシグナルの細胞内応答をluciferase(ルシフェラーゼ)の発光を用いたin vivoイメージングシステムを用いて組織レベルで解析することにより、時空間的な細胞群の生化学的応答能から生物のかたち(器官)作りのシステムを個体レベルで定量的に理解することをねらいとしている。具体的には肢芽の細胞群全体が分泌因子などの生化学的なシグナルをどれだけ受け取っているのか、という細胞の化学履歴を発光顕微鏡を用いてphoton/second(単位時間当たりに受け取る光子の量)という物理量で計測する方法を確立することを目標にしている。そして得られた化学履歴のシグナルがどのような形態変化に結びついていくのかを調べる為に、肢芽の形の動的な変化をDiI/DiOの蛍光ラベルと数学的手法を用いたシミュレーションから明らかにすることを考えている。23年度では形態変化の解析が終わり、解析結果から組織の成長率と組織変形の異方性の2つの特徴量を定量的に得ることに成功した。これによりシミュレーション結果から、形態変化には細胞増殖を含めた組織の成長を見るのではなく、組織の変形パターンを定量的に解析することで形の出来方が理解出来ることが判明した。この結論はこれまで細胞レベルの解析だけでは理解出来なかった組織全体のグローバルな形を理解するために必須の解析すべき特徴量を初めて示すことができたと言える。これらの結果は現在論文を書き終わり、投稿前の段階にある。また発光シグナルの解析では、実施計画に従って、FGFとレチノイン酸のシグナルを定量化する実験系を構築した。次年度はこれらの解析を直接肢芽で行って行く予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成23年度に得られたデータを用いて現在論文を書き終わっており、投稿手前の状態であるため。 計画の80%をすでに終え、残り20%の予定について現在予備データを得ている。
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今後の研究の推進方策 |
現在FGFシグナルとレチノイン酸シグナルを直接発光顕微鏡を用いて定量出来る実験系を組み上げており、本年度ではこのデータを取得する。得られたデータから形態変化とシグナルの量にどのような関係があるのかを数学的手法を用いて解析する。
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