研究領域 | ミクロからマクロへ階層を超える秩序形成のロジック |
研究課題/領域番号 |
23127505
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
船山 典子 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (30276175)
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キーワード | 骨片骨格 / カイメン / カワカイメン / パターニング / 細胞間相互作用 / トランスクリプトーム |
研究概要 |
蛍光でラベルした骨片を長時間トレースする実験系の構築を試みた。明らかになった問題点はi) タイムラプス撮影中にも骨片が形成され立てられるため、培養液に蛍光色素を加えておく必要があるが、培養液中に蛍光色素がある状態で撮影のために頻繁にレーザーを照射するとカワカイメンの成長に毒性が生じること、ii) Z軸方向のデータを得るためには5分ごとに5μmごとに約40枚程のデータが必要であり、当研究室の顕微鏡システムではカワカイメンへのダメージが大きく、かつカメラの感度が足りずに撮影時間が5分を超えてしまうことであった。i)に関しては、1)培養液中の蛍光色素(ミトコンドリア生体色素)を検討、従来のRhodamine123はミトコンドリアへの取り込み効率も高く、骨片と細胞が両方検出され、骨片の詳細の検出が困難であったのに対し、TetraMethylRhodamineMethylEster(TMRM)はカワカイメンミトコンドリアに取り込まれにくく、骨片のみを検出できることを見出した。TMRMを用いることで骨片骨格の動きの検出感度を格段上げることが出来た。 2)タイムラプス撮影中の培地におけるTMRMの濃度を検討、現在の撮影条件では毒性が出ない、従来の1/1000から1/100の濃度を設定出来た。 当該研究を進める過程で、骨片骨格形成の解明には、遺伝子解析のためのトランスクリプトーム解析が必要であると判明したため、H23年度の研究助成金の一部をH24年度に繰り越し、H24年度にトランスクリプトーム解析を行うこととした。個体発生のどの段階に発現している遺伝子も含まれるよう、4つの段階の個体発生ステージのカワカイメンを同じ比率で混合したRNAを抽出、外注した。合わせて次世代シークエンサーを用いる解析に適する分解が少なく、DNA断片の混合などの非常に少ない質の高いRNAの抽出法を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1)当研究室での顕微鏡システムでは、感度よく頻度高く長時間のタイムラプス撮影が困難と判明した。ど 2)当該研究推敲中に、骨片骨格形成機構理解には、遺伝子レベルの解析が必須と判明、トランスクリプトーム解析を行うことにしたため、次世代シークエンサーを用いた配列決定に適する質の高いRNA抽出法の検討に時間がかかり、かつ材料であるカイメン芽球が大量に必要となったため、材料が足りなくなった
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今後の研究の推進方策 |
1)どの様な培養条件と顕微鏡システムで可能であるかの検討を他の研究室の顕微鏡をお借りして検討する予定である。 2)芽球は3月に採集を行い、充分量を確保出来た。トランスクリプトーム配列決定はH24年度に行うことした。
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