研究領域 | ミクロからマクロへ階層を超える秩序形成のロジック |
研究課題/領域番号 |
23127512
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研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
堀川 一樹 国立遺伝学研究所, 新分野創造センター, 准教授 (70420247)
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キーワード | 自己組織化 / ライブイメージング / マルチスケール計測 |
研究概要 |
本研究では多細胞集団における自己組織的パターン形成原理を理解するため、細胞個性のヘテロ性が秩序形成過程に果たす役割の解明を目的とする。社会性アメーバでは細胞間シグナル伝達因子cAMPによる周期的な細胞間信号伝達より集合流の形成と細胞の分化が実現されるが、そのシグナル動態の生理学的意義は理解できていない。これは、細胞集団における細胞内/細胞外cAMP濃度変動の時空間ダイナミクスが完全には明らかになっていないことに起因するのでまず、本研究室にて開発した超高感度FRET型cAMP指示薬を用い、その濃度変動パターンを世界で初めて計測することを可能にした。現在詳細な解析を進めており、周期的なcAMP濃度変動の「周期」「振幅」「頻度」の全てのパラメーターを明らかにしつつある。 明らかになった周期信号の各成分の生理的な意義を明らかにする事を目的に、人工的に各成分を制御できる実験システムを構築し、周期、振幅、頻度の各パラメータ変動に対し、集合流形成や細胞分化のパターンがどのように変動するかをRT-PCRやGFPレポーター系を利用した計測を行っている。また、細胞の分化度をモニターできる細胞株の樹立を試みており、そのための標的遺伝子検索ならびに蛍光レポーターの最適化を行った。現在遺伝子ターゲティングによる、分化度レポーター株の樹立を進めており、セルソーターによる分化度合いに基づいた細胞の分取システムの構築を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
H22新設のラボであり、研究室のセットアップ(特に人員の拡充)に時間を要したため、研究の進捗がややおくれている。H24年度4月にはポスドク2名、学生1名、技術補助員2名による合計6人体制となったので問題は解決している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究を遂行させるための基盤整備は完了のめどが立っている。H24年度には詳細な解析を進めることで、秩序形成過程においては集団内の細胞個性のヘテロ性が必須である事を証明するとともに、ヘテロ度合いの制御を行う事で人為的にパターン形成を制御するための手法を確立できると考えている。
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