研究領域 | パーソナルゲノム情報に基づく脳疾患メカニズムの解明 |
研究課題/領域番号 |
23129504
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
服巻 保幸 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (90128083)
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キーワード | 遺伝子ニューロパチー / 次世代シークエンサ / エクソーム解析 / 連鎖解析 / 優性遺伝形式 / SNV |
研究概要 |
次世代シークエンサを用いたエクソームリシークエンシングによる稀少遺伝性疾患の解析が近年注目されているが、単一の家系しか得られない研究には膨大な数の変異の絞り込みが必要となる。そこで連鎖解析を併用することにより、その絞り込みの決め手とすることを考え、「連鎖・エクソームアプローチ」と名付け、家族性ニューロパチー一家系に応用した。本家系は、近位筋優位の筋力低下をきたし、常染色体優性遺伝形式をとる運動感覚ニューロパチー家系であり、神経因性膀胱と発作性乾性咳漱を特徴としている。まず、患者8名を含む4世代計23名を用いた連鎖解析を行った。その結果、1p31.1-q23.3(LOD=1.704)と4pter-p15.2(LOD=1.421)に最も強い連鎖を見出した。本領域には常染色体優性の運動感覚ニューロパチーの責任遺伝子として知られているMPZが存在したため、全エクソンの変異検索及びリアルタイムPCRによるコピー数異常の検討を行ったが、異常は見られなかった。また、近位筋優位のニューロパチーの連鎖領域として報告されている3p12-q13については、本家系での連鎖は否定され(LOD<-3)、遺伝学的に新規な疾患であることが確認された。そこで、5人の患者と1人の非発症血縁者をエクソームシークエンシングにより解析した。その結果、5人の患者に特異的に共有され、非発症血縁者には見られないSNVを2,120個見出した。このうちの71個は、これまでに報告のない新規な非同義置換で、さらにそのうちの20個を、連鎖領域にヘテロ接合型で存在する疾患責任候補SNVとして同定した。さらに、これらのSNVについて、家系内の共分離の確認及び日本人健常者520人のスクリーニングによる低頻度SNPの除外を、個別のサンガーシークエンシングにより進め、1p領域に2個、4p領域に1個候補SNVを選別した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
責任変異候補を3個までに絞り込んだ。
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今後の研究の推進方策 |
責任変異候補3個のさらなる絞り込みを行うとともに、申請計画にもある、家族性無症候性高CK血症および家族性ミオクロヌスてんかんにつても、連鎖解析とともに、エクソーム解析を行う。
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