研究実績の概要 |
本研究ではエキソーム解析における難読領域を対象として、その解読技術の開発を目指した。SureSelectを用いて得られたエキソーム解析データを解析した結果、7検体で共通して厚みが×10未満の難読領域計1.8Mbのうちの1.1Mbは、そもそもベイトが作成されていなかった重複遺伝子配列であったが、コピー数が多い遺伝子は疾患の原因とはなり難いと考えられ、またインフォマティクスに依る解決が必要であることから、今回は対象外とした。それ以外の724kbからなる難読領域に注目したところ、最も多いのはGC含量が60~80%のGCリッチな配列であった。この難読領域を解読するために従来のエキソーム解析法の改良ではなくて、まったく異なる下記の2つの方法を用いた。 (1)HaloPlexターゲットエンリッチメントシステムによる難読領域の増幅と解読 57nt以上の長さの難読領域3,845カ所計497kbを標的としてHaloPlexのプローブライブラリーを作成し、全ゲノムDNAから標的領域のみを増幅し、回収したDNA断片をパーソナル次世代シーケンサーMiSeqを用いて解読したところ、GCリッチの標的領域のうち60%以上について、×10以上の厚みで解読に成功した。 (2)MultiPlex-PCRによる難読領域の増幅と解読 GC含量65%以上の300bpの96領域について特異的PCRプライマーを作成し、個別にPCRを行ったところ、92/96組のプライマーで増幅に成功した。この内、16種類のプライマーで個別にシーケンシングを行ったところ、13/16個で解読できた。一方16組のプライマーを混ぜて同時にPCRを行った後に、16種類のプライマーで個別にシーケンシングを行っても、9/16個で解読でき、MultiPlex-PCRによる解読も有望であると思われた。
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