研究領域 | 癌幹細胞を標的とする腫瘍根絶技術の新構築 |
研究課題/領域番号 |
23130505
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
佐藤 卓 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 特任助教 (40375259)
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キーワード | 慢性骨髄性白血病 / 白血病幹細胞 / インターフェロン / 細胞周期 / 幹細胞性 |
研究概要 |
申請者らはこれまでに、一過性のI型IFNが本来"休眠状態"にある造血幹細胞を活性化し細胞周期へ動員させる作用や、慢性的な作用が造血幹細胞の減少をもたらすことを明らかにしてきた。本申請研究は、CMLマウスモデルを用いて、このI型IFNの作用によってCML幹細胞(CML-LIC)を効果的に排除し、CMLの根治を目指す新たな治療戦略の可能性を検討するものである。本年度は、研究実施計画に示した、以下の研究を遂行した。 (1)CMLモデルの作製:レトロウイルス系によりマウス骨髄LSK細胞にp210 Bcr-Ab1遺伝子を導入する方法で、CMLモデルを確立した。また、本モデルでは、CML誘導マウスの白血病細胞を2次移植することで、レシピエントマウスにCMLの誘導が可能であったことから、これらの白血病細胞中には、確かにCML-LICが含まれると考えられた。また、Imatinib投与によって病勢をコントロールしたマウス由来の白血病病細胞でもCMLの移植が可能であったことからCML患者の場合と同様、このCML-LICはImatinib耐性であることが確認された。 (2)ImatinibとIFNの併用投与によるCML-LICの数的変化の解析:CML誘導マウスをImatinib単剤あるいは、Imatinibとpoly(I:C)(I型IFNの誘導剤)の併用投与により一定期間治療後、それらのマウス由来の白血病細胞を2次レシピエントマウスに移植し、両群間のCMLの発症頻度を比較した。その結果、poly(I:C)の併用治療によって、2次レシピエントマウスのCML発症頻度が低下する傾向が認められ、同併用投与のCML-LICを標的とした治療における有用性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本申請研究で最も重要なCMLモデルの確立、特にレトロウイルス系によりマウス骨髄LSK細胞にp210Bcr-Ab1遺伝子を導入する手法、条件の検討に長期間を要してしまったため。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画では、CML誘導マウス(1次レシピエントマウス)から、CML-LICをセルソーティングにより精製し、これを2次レシピエントに移植した個体を治療実験に用いる予定であったが、この方法では、CMLの発症頻度にばらつきが見られ、薬剤の治療効果を検証するには不適当と判断した。従って、当初の計画を変更し、1次レシピエントマウスで治療効果を検討するとともに、同一個体においてImatinib投与中止によるCMLの再発頻度を指標とし、CML-LICへの同併用治療の効果を判定しようと考えている。
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