公募研究
平成23年度の研究において、レトロウイルスベクターを用いたGemininの過剰発現系及びshRNAによるGemininノックダウンシステムを確立した。それぞれ2種類のセレクションマーカー(EYFPもしくはZsGreen及びpuromysin耐性遺伝子)を用意した。また、spinoculationを用いた極めて効率的なレトロウイルスの感染法やシングルセル由来の細胞のほぼ100%にレトロウイルスを感染させる方法をも確立した。これらの実験系を用いて、MLL遺伝子の転座を有する白血病細胞において発現が著しく亢進しており、その予後を規定する因子であるHoxa9が、従来知られてきた転写制御因子としての機能だけではなく、Rocl-Cul4a-Ddb1コアE3ユビキチンリガーゼ複合体と結合し、DNA複製ライセンス化制御因子であり幹細胞の未分化性維持因子でもあるGemininに対するE3ユビキチンリガーゼを構成することを生化学的に証明し、Hoxa9の過剰発現による造血幹細胞や造血前駆細胞の活性化においてHoxa9によるGemininのユビキチン化を介したタンパク質発現減少が、重要な役割を果たしていることを明らかにし、英文論文にまとめ投稿した。また、MLL-AF9、Hoxa9+Meisla及びBCR-ABLを導入しトランスフォームした骨髄細胞を用いてコロニー形成能を調べる実験系を確立し、上記のGeminin発現制御系を用いて、コロニー形成能に与えるGemininの発現量の影響を検討中である。
2: おおむね順調に進展している
レトロウイルスを用いたGemininの発現制御系を確立することができ、効率的な感染方法も取得した。これらの実験系を用いて、トランスフォームしたマウス骨髄細胞の生物活性に対するGemininの発現量の影響を評価するための実験まで着手することができた。
平成24年度の研究計画に従い、Gemininの発現動態を可視化するために作成したGeminin-EYFPノックインマウス由来の白血病幹細胞の分画にある細胞をGemininの発現量によりさらに分画し、その白血病幹細胞活性におけるGeminin発現量の影響を調べる。また、白血病幹細胞の分画にある細胞を、シングルセルにソートし、白血病幹細胞の自己複製の分子機構におけるGemininの役割を明らかにする。
すべて 2012 2011 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) 備考 (1件)
Cancer Sci.
巻: 103(1) ページ: 34-41
doi:10.1111/j.1349-7006.2011.02121.x
Clin.Immunol.
巻: 31(5) ページ: 762-772
http://home.hiroshima-u.ac.jp/dscb