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2011 年度 実績報告書

発がんシグナルが誘導するDNA複製異常におけるY-familyポリメラーゼの役割

公募研究

研究領域ゲノム複製・修復・転写のカップリングと普遍的なクロマチン構造変換機構
研究課題/領域番号 23131503
研究機関群馬大学

研究代表者

山下 孝之  群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (10166671)

キーワード発がん遺伝子 / DNA再複製 / Y-family polymerase / 発がん / ゲノム不安定化 / DNA複製ストレス / 前がん病変 / geminin
研究概要

発がん遺伝子の活性化は、DNA複製ストレスとこれに伴うDNA損傷応答を誘導する。このプロセスは、腫瘍初期病変に見られる(1)細胞老化や細胞死を介する発がん抑制と、(2)ゲノム不安定化による腫瘍の悪性化促進、という相反する作用を引き起こし、治療標的としても注目されている。このような複製ストレスの原因のひとつとして、発がんシグナルによるDNA再複製の誘導が考えられているが、その分子機構は十分明らかではない。我々は、DNA再複製におけるY-familyポリメラーゼ(Y-Pol)の役割を解析し、以下のような知見を得た。
ヒト細胞株U2OSにがん遺伝子cyclin Eを過剰発現すると、細胞はG2期に留まりつつDNA再複製を続けて高倍数化(DNA>4N)を示した。これらの細胞ではDNA損傷の亢進にともない、PCNAモノユビキチン化、PCNAと共在するGFP-Y-Polメンバー(Polη,REV1,Polι,Polκ)のfocus形成が観察された。また、Polη,REV1をknockdownしたところ、cyclin Eの発現誘導時にRad51のfocus形成が増加した。したがって、これらY-Polの機能抑制により代替的に相同組み替え修復が亢進した可能性が考えられる。そこで、さらにDNA再複製におけるY-Polの役割を解析するために、GFP-Y-Polを安定発現するU2OS細胞においてgemininをknockdownしてDNA再複製を誘導したところ、DNA量の高倍数化にともなってDNA損傷応答の亢進、PCNAモノユビキチン化、replisomeへのY-Polの集積が観察された。また、EdUで標識したDNAは、モノユビキチン化PCNA、GFP-Polηと共沈した。これらの結果は、DNA再複製にY-Pol(特にPolη)が関与することを強く示唆する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究に適した実験モデル系を確立することができ、当初の仮説であるY-familyポリメラーゼを支持する知見を得ることができた。

今後の研究の推進方策

これまで得られた知見を確実にするために、他の実験モデル系やin vivoに置ける検討、より多角的な手法を用いた検討、多くのコントロール実験などを行う必要がある。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2011 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Molecular Chaperone Hsp90 Regulates REV1-Mediated Mutagenesis2011

    • 著者名/発表者名
      Mayca Pozo F, Yamashita T, et al
    • 雑誌名

      Mol Cell Biol

      巻: 31 ページ: 3396-3409

    • DOI

      10.1128/MCB.05117-11

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Regulation of the MDM2-P53 pathway and tumor growth by PICT1 via nucleolar RPL112011

    • 著者名/発表者名
      Sasaki M, Yamashita T, et al
    • 雑誌名

      Nature Med

      巻: 17 ページ: 944-951

    • DOI

      1038/nm.2392

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Direct Inhibition of TNF-a Promoter Activity by Fanconi Anemia Protein FANCD22011

    • 著者名/発表者名
      Matsushita N, Yamashita T, et al
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: 6 ページ: e23324

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0023324

    • 査読あり
  • [学会発表] Y-family DNAポリメラーゼによる損傷乗り越えDNA合成は、cyclin E過剰発現によるDNA複製ストレス応答に関与する2011

    • 著者名/発表者名
      関本隆志、山下孝之, ら
    • 学会等名
      第34回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2011-12-15
  • [備考]

    • URL

      http://www.imcr.gunma-u.ac.jp/lab/molgen/

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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