研究領域 | ゲノム複製・修復・転写のカップリングと普遍的なクロマチン構造変換機構 |
研究課題/領域番号 |
23131504
|
研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
丹伊田 浩行 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (20336671)
|
キーワード | DNA複製 / チェックポイント |
研究概要 |
申請者は最近の研究で、DNA二重鎖切断の際にdNTPs合成に必須のリボヌクレオチドレダクターゼ(RNR)がヒストンアセチルトランスフェラーゼであるTip60依存的にダメージ部位へリクルートされ修復を促していることを報告している(Genes Dev. 2010 24: 333-338)。この研究に基づきDNA複製開始の際にRNRが複製マシナリーに局在し、局所的なdNTPs供給を行っていると予想しRNRと相互作用しうる複製関連因子の探索を試みた。293細胞内にHAタグを付けたRNRの触媒サブユニットRRM1と調節サブユニットRRM2を発現させ、タグに対する抗体でRNR複合体を免疫沈降し液体クロマトグラフ質量解析を行った。この解析からDNA複製に関わる因子を同定することが出来なかったため、DNA複製に関与するタンパク質群の抗体で免疫沈降物の検出を試みた。この結果Pre-replicative complex(pre-RC)の構成因子であるCdc6及びMCM複合体との相互作用が認められた。現在Fluo-chase kitを用いてRNRと相互作用する部位の同定を行っている。 また申請者はTip60と同じMYST familyに属しOrc, CDT1と結合することが報告されているHBO1がM-G1期のDNAダメージに対しpre-RC形成を抑制する機構を見出し解析を進めている。この機構はチェックポイント因子であるATM/ATRにより制御されているという知見を得ている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
申請時にDNA複製因子とRNRの相互作用をRNR複合体解析から同定できると予想していたが複数回によるLC/MS解析によって同定することが出来なかった。このため既知のDNA複製関連タンパク質に対する抗体を用いることにより候補因子を同定しその相互作用の意義を解析している。この解析を細胞内にRNRとCdc6あるいは MCM6を共発現させることにより行っていたが各欠損タンパクの細胞内での発現にバラツキがあり再現性のある結果がなかなか得られなかった。そのため現在Fluo-chase kitを用いて解析を行っている。
|
今後の研究の推進方策 |
RNRがDNA複製因子と相互作用してDNA複製時にdNTPsを供給する機構については相互作用する因子との結合部位に変異をいれた変異体を作成しRNRの細胞内局在の重要性を示して行く。 またHBO1による複製開始制御についてはその分子機構を明らかにし、複製開始機構の新たなメカニズムを証明する。
|