公募研究
ファンコニ貧血(FA)の原因遺伝子群の構成するFA経路は、DNAクロスリンク(ICL)修復と染色体ストレス応答に必須の役割を果たす。本研究課題では、FA経路とクロマチン制御因子がカップリングする可能性を想定し、以下の研究を行った。1)FA経路の中心タンパク質FANCD2のヒストンシャペロン活性の検討。詳細な表現型解析により、昨年度同定した点突然変異体(RK変異体)を含め、これまで分離したFANCD2 C末端領域のヒストンシャペロン変異体は、いずれも同時にFANCD2のモノユビキチン化が抑制されることが判明した。このため、FANCD2の機能分離変異体の単離を試みた。検討の結果、FANCD2が正常にモノユビキチン化され、ヒストンシャペロン活性が著減するヒトFA患者由来のFANCD2 R302W(トリではR305W)変異体を見いだした。その解析から、FANCD2のヒストンシャペロン活性は、クロマチン上で働くFANCD2の機能であること、また、この活性は直接クロマチンの動的変化を制御することが結論され、これらの成果を論文として発表した。2)FA経路とクロマチンリモデリング複合体Swi/Snfとの機能連携の検討。ヒトHeLa細胞を用い、Swi/Snf複合体のBrg1, Brm, SNF5のsiRNAによるノックダウンを行い、細胞の表現型解析により直接的にFA経路との機能連携を検討した。いずれの細胞も、DNAダメージによるFANCD2モノユビキチン化は正常であり、ICL薬剤に対する感受性にも顕著な差はなかった。従ってICL修復においては、FA経路分子とSwi/Snf複合体の機能連携の寄与は大きくないと結論される。加えて、Brg1欠損細胞であるH1299細胞にBrg1を再発現させた細胞を構築し、両者を比較したが、優位な差は見られず、上のノックダウン実験の結論を支持する結果が得られた。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2013 2012 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
Nucleic Acids Res.
巻: 40 ページ: 4553-4561
10.1093/nar/gks053
Mol Cell
巻: 47 ページ: 511-522
10.1016/j.molcel.2012.05.047
EMBO J.
巻: 31 ページ: 3524-3536
10.1038/emboj.2012.197
Methods Mol Biol.
巻: 920 ページ: 39-49
10.1007/978-1-61779-998-3_4
http://house.rbc.kyoto-u.ac.jp/Late_Effect/Japanese_site/Welcome.html