研究領域 | ゲノム複製・修復・転写のカップリングと普遍的なクロマチン構造変換機構 |
研究課題/領域番号 |
23131518
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
真木 寿治 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (20199649)
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キーワード | 遺伝学 / 遺伝子 / ゲノム / DNA複製 / 突然変異 |
研究概要 |
本研究の目的は、DNA損傷により停止した転写装置がDNA複製フォークの進行にどのような影響を与えるのかを分子レベルで解明し、転写装置により進行が阻害されたDNA複製がどのようにして回復するのかを明らかにすることである。そのために、申請者らが開発したin vitro oriCプラスミドDNA複製系での複製フォークの進行をモニターする実験系を基盤として、特定の部位にDNA損傷を導入した鋳型DNAを用いることにより損傷部位で停止した大腸菌RNAポリメラーゼによる複製フォークの進行阻害の状況を詳細に解析することとした。さらに、停止した転写装置を鋳型DNAから排除する働きを持つMfdタンパク質による複製の再開の検証、および遺伝学的な研究から複製フォークの進行と転写の進行をモジュレートすると考えられている一群のDNAへリカーゼ(DinG、Rep、UvrD)の働きを生化学的に解析する予定である。本年度は、採択された時期が遅かったために、in vitro oriCプラスミドDNA複製系に用いる特定の部位にDNA損傷を導入した鋳型DNAの新規の調製法の確立と、それにより得られた鋳型DNAを用いた複製フォークの進行の阻害および回復の過程の解析を中心に研究を進めた。単一損傷を持つプラスミドDNAの調製を御効率良く行える方法の開発に成功したために、本研究計画で用いる転写装置が損傷部位で停止した状況を作り出す道が開けたと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
数ヶ月の研究期間ではあったが、試験管内DNA複製系に用いる鋳型DNAの効率良い、また純度の高い調製法の開発に成功したため、来年度の研究の進展が見込まれるため。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画では、1年目に転写装置を導入するプラスミドの作成を考えていたが、すぐに着手できる状況であるので、研究計画を変更する必要はないと考えている。平成24年度では、rrnB遺伝子のプロモーター配列をoriCプラスミドにクローン化し、単一のDNA損傷を特定の部位に持つ鋳型DNAでの転写装置の挙動を最初に調べる。それが順調に進めば、複製フォークの進行についての解析を進める。Mfdタンパク質の精製にも取り組む。
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