公募研究
(1)フェロモン受容神経回路の性差同定:松尾らによって作出された神経活動を可視化したマウスを用い、同一個体に対してマウスオス尿とメス尿を呈示し、それぞれの刺激に対して特異的に応答を示す扁桃体内側核の神経細胞を蛍光顕微鏡下で同定した。その結果、扁桃体内側核内でオスシグナルはMEApdを介して、メスシグナルはとMEApaを介して伝達されることが明らかとなった。さらにこれらの神経細胞は転写活性因子のLHX6とLHX9を発現し、細胞特性も異なることが示された。(2)周産期において、人為的にホルモンを操作することにより、性行動の逆転を引き起こすことができる(Wu et al. 2009)。これを利用して、性シグナルの伝達神経回路も同様に逆転することが確認された。特に性嗜好性とメスシグナルに対するオスの歌発声を用いたところ、成長後のアンドロゲン処置によって性行動は誘起できるもの、求愛歌は変化しなかったことから、複数の性差回路の存在が指摘された。
2: おおむね順調に進展している
扁桃体内の性特異的な回路と、そのステロイド依存性を明らかにしており、ほぼ順調に進んでいる。昨年度よりチャレンジしている機能的な性差の実証研究をすすめることで、今年度中の完成を目指す。
H22年度は、この細胞の機能を人為的操作することで、性特異的な行動(性行動、攻撃行動)が変容するかを調べる。具体的にはGFP-ZAPの神経核特異的な投与により、伝達経路を遮断した場合の行動変化、ならびにAAV-WGA-Creを感染、起始核である扁桃体内側核にAAV-Flex-DREADDs-Giを導入、CNOを投与し性特異的行動を測定する。
すべて 2011 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) 備考 (1件)
PLoS One
巻: e22093
doi:10.1371/journal.pone.0022093
巻: e17721
doi:10.1371/journal.pone.0017721
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