公募研究
個体全域に広がる性差の構築メカニズムに関する研究は、性ホルモンとその受容体による転写制御の分子メカニズムの研究を除いては大きな進展は見られない。CBX2/M33などのクロマチン因子が、遺伝的制御と内分泌制御の相互作用の場をクロマチン上に提供していると推測できる。本課題では、性差を示す疾患である骨粗鬆症に関わる骨芽細胞を研究対象として、次世代シークエンサーを用いた骨芽細胞系列細胞のゲノムワイドなクロマチン構造・発現を総合的に解析する。骨粗鬆症表現型を示す自然老化マウス、ならびに早期老化症様表現型を示す複数のクロマチン因子ノックアウトマウスに共通する表現型として、骨髄分化誘導培養における分化コロニー数の低下(CFU-AP)が認められる。この結果は、これらクロマチン因子が骨髄間葉系前駆細胞の分化維持機構に重要な役割を果たしていることを示唆している。詳細な検討ため、骨髄間葉系前駆細胞と、更に分化の進んだ前骨芽細胞、骨芽細胞、骨細胞との分離方法を検討した。いくつかの文献で示されている細胞接着を利用した分離法では、脂肪細胞への分化能が低く、骨髄間葉系前駆細胞の存在比率が上がらない、あるいは、むしろ低下することが判明した。また、接着性の骨髄細胞中では、骨髄間葉系前駆細胞とは異なる大型の細胞もNestin陽性であり、Nestinは単一の分離マーカーとしては適さないと判明した。そのため複数の細胞表面マーカーを組み合わせた骨髄間葉系前駆細胞分離法を試みた。一方、前骨芽細胞、骨芽細胞特異的にGFPを発現するマウスを導入した。
2: おおむね順調に進展している
骨髄間葉系前駆細胞の細胞分離方法は困難ではあるが重要なステップであり、その検討は本課題目的達成には不可避で重要な部分である。
骨髄間葉系前駆細胞の細胞分離を実行し、次世代シークエンサー解析を行う。並行して前骨芽細胞等の分化細胞を用いた実験を行う。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)
Endocrinology
巻: 153 ページ: 913-924
PLoS One
巻: 6 ページ: e25158