研究実績の概要 |
418人の日本人のHLA遺伝子6座位(HLA-A, HLA-B, HLA-C, HLA-DRB1, HLA-DQB1, HLA-DPB1)の遺伝子型を決定した。6座位全てを合わせると120アリルが存在し、そのうち80アリルは1%以上の頻度であった。DPB1*04:01は6.1%のアリル頻度をもち、他のアリルに比べて特に高いハプロタイプホモ接合度を示した。DPB1*04:01 アリルは、日本人において最も頻度の高い6座位HLAハプロタイプ(A*33:03-C*14:03-B*44:03-DRB1*13:02-DQB1*06:04-DPB1*04:01)を構成するアリルの一つであり、HLA領域のSNP解析によって、単一起源をもつハプロタイプであることが確認された。さらに、日本周辺のアジア人集団における地理的分布から、このハプロタイプは弥生時代に朝鮮半島から日本列島に伝来したと考えられた。次に、高頻度な6座位HLAハプロタイプが存在する条件を検討したところ、正の自然淘汰を仮定せずには理論的に説明することができなかった。そこで、DQB1*06:04-DPB1*04:01間の連鎖不平衡に関する数理モデルを構築し、コンピュータシミュレーションによってDPB1*04:01アリルの淘汰係数を0.041(95%信頼区間:0.021-0.077)と推定した。 KIRは、NK細胞や一部のT細胞に発現し、抑制型のKIRは、HLA-class I を認識する。KIRとHLAの組み合わせにより、HLA-KIRを介する免疫応答に遺伝的個体差が生じる可能性がある。タイ人マラリア患者を対象とし、HLA-class IとKIR遺伝子座の解析から、HLA-C1アリルとKIR2DL3とを同時に保有すること(相互作用)が、脳性マラリア感受性と関連することを見いだした。
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