公募研究
本年度は、カルボキシル基を有するポリグリシドール誘導体をリン脂質極性基に結合したポリマー脂質およびデンドロン脂質を用いて作製したpH応答性リポソームによる細胞内への内包物質デリバリー機能について詳細に検討した。ポリマー脂質を用いたリポソームは、樹状細胞のサイトゾルに内包物を導入するのに対して、デンドロン脂質を用いたpH応答性リポソームは、樹状細胞やHeLa細胞のエンドソームに内包物質を放出することがわかった。このように、pH応答性分子を使い分けることで、エンドソームデリバリー型リポソームとサイトゾルデリバリー型リポソームを作製することに成功した。さらに、これらのリポソームを使って、抗原デリバリーについて検討した。オボアルブミン(OVA)を内封したポリマー脂質リポソームおよびデンドロン脂質リポソームを、OVAを発現している腫瘍をもつマウスに投与し、その腫瘍成長抑制について検討した。その結果、いずれのリポソームもOVA特異的な免疫を誘導し、腫瘍成長を強く抑制することがわかった。特にポリマー脂質リポソームは、強い抗腫瘍免疫を誘導することで腫瘍の消滅を引き起こした。これは、このリポソームが樹状細胞などの抗原提示細胞に取り込まれてその抗原をサイトゾルに導入することによって効果的に細胞性免疫を誘導とためと考えられる。また、ポリマー脂質リポソームにペプチドワクチン(OVAペプチド)を包埋してその免疫誘導機能を調べ、ペプチドワクチン投与の場合と比較した。その結果、リポソーム化することでペプチドワクチンによる免疫誘導機能が向上することがわかった。ペプチドワクチンをリポソームを用いて適切にデリバリーすることでその免疫誘導活性を高められることを明らかにした。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2013 2012 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 3件) 図書 (1件) 備考 (1件)
Biomaterials
巻: in press ページ: in press
巻: 34 ページ: 3042-3052
10.1016/biomaterials.2012.12.031
J. Biomaterials Applications
巻: 27 ページ: 445-456
10.1177/0885328211411955
J. Control. Release
巻: 160 ページ: 552-560
10.1016/j.jconrel.2012.04.002
Bioconjugate Chem.
巻: 23 ページ: 871-879
10.1021/bc200368b
http://www.chem.osakafu-u.ac.jp/ohka/ohka9/index.htm