公募研究
近年の網羅的なゲノム解析はヒトがん細胞における多様なゲノム異常の存在を明らかにした。しかし、その中 から発がんの原因となるドライバー変異とパッセンジャー変異を見極める方法は確立していない。そこで、本研 究ではヒト肺がん細胞におけるゲノムの増幅、欠失、遺伝子内コピー数変化、LOH、融合、点突然変異など、多面的なゲノム動態異常のデー タと遺伝子発現プロファイリングのデータを組み合わせたシステム的アプローチ により、肺発がんド ライバー遺伝子の同定法の確立を目指す。今年度は、極めて予後不良で治療標的分子が同定され ていない小細胞がんに焦点を当て、同一症例のゲノム動態(変異・コピー数変化・転座)と発現プロファイル・全トランスクリプトームシークエンシングの情報を組み合わて、ゲノム動態の変動に起因する発現変動遺伝子群を同定した。まず、ゲノム網羅的コピー数解析と発現プロファイル解析を組み合わせて、MYCファミリー遺伝子群と相互排他的に増幅して高発現しているKIAA1432遺伝子を治療の標的分子として同定した。次に、全トランスクリプトームシークエンシングの結果とゲノム網羅的コピー数解析の結果を統合し、肺小細胞がんにおける遺伝子融合の多くはMYC遺伝子やMYCL1遺伝子の増幅過程で形成され、遺伝子融合よりも増幅のほうが発がんに重要であることを明らかにした。本研究に よって同定されたKIAA1432遺伝子は分子標的創薬のシーズとなる可能性が極めて高い。今後はエクソームシークエンシングや全ゲノムシークエンシングなどのデータを追加し、更に治療の標的となり得るドライバー遺伝子の単離・同定を進めて行きたい。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Genes, Chromosomes and Cancer
巻: 未定 ページ: 未定
Cancer Research
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