研究計画開始時,両眼視差とDOFボケを同時提示可能なシステムを構築し,それを用いてDOFボケが質感知覚に与える影響を調べることを研究の主要な目的としたが,初年度の23年度中には同システムの構築を終え,さらに実験もかなりの部分を終えることができたので,今年度は,さらなる詳細な検証実験の実施と,さらにこれまでの研究で見えてきた新しい課題に取り組んだ.さらに,それら成果を踏まえて,本領域の計画班や他の公募班と共同研究を実施,あるいはその準備も行った.まず取り組んだ課題は,23年度実績報告書記載の通り,質感属性の画像認識アルゴリズムの研究である.研究の結果,従来の研究に比べて,自然画像を扱えるようになり,透明感や滑らかさ,暖かさといった従来扱いにくかった質感属性を対象とできるようになった.この成果は国際会議ICPRにて公表し,さらにその内容を発展させたものを専門誌に投稿準備中である.次に,同新学術領域に参加する他の公募班(新潟大学,電気通信大学,大阪大学,京都大学の各研究グループ)と,共同研究を実施した.現在も研究中の課題を含むため詳細は省くが,本研究計画で実現した注視計測システムの生体計測への応用,われわれが実現した質感認識手法と言語的特性に基づく質感認識手法との融合による新しいアプリケーションの実現,同手法と生体の質感認識方法との比較などを含む.これらの成果は近いうちに公表される予定である.
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