研究領域 | 質感認知の脳神経メカニズムと高度質感情報処理技術の融合的研究 |
研究課題/領域番号 |
23135511
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
岡嶋 克典 横浜国立大学, 環境情報研究院, 准教授 (60377108)
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キーワード | 視覚情報処理 / 鮮度推定 / 経年変化推定 / 認知科学 / モデル化 / 輝度統計量 / ヒストグラム / 加齢変化 |
研究概要 |
「鮮度」という高次質感の認知メカニズムを解明し、鮮度判定システムを開発するとともに画像処理によって任意の「鮮度」を有する画像に変換・生成する技術を確立した。これまで一般のデジタルカメラで撮影した画像を使って研究が行われてきたが、この方法では実際の食品の色を正しく画像表示することが困難であった。そこで今回は2次元色彩計を使って食品の測色値を2次元的に測定し、各画素の測色値が数値データとなる画像情報を取得した。また、立体視の効果も検討するために、左右眼用の2枚の画像を取得した。恒温恒温槽を用いて、食品を系統的に腐敗劣化させ、その経過を適当なタイミングで上記の画像撮像系を用いて撮影し、鮮度を変化させた食品の画像データを取得した。実際の食品の色情報を忠実に記録できるため、キャリブレーションされたモニタ上に実際の食品と同じ色の画像を正確に表示することができ、再現性のある実験と様々な画像処理を施した画像を統一的かつ一貫して実験室内で生成することが可能となった。経時時間すなわち鮮度が異なる画像を視覚刺激としてモニタ上に呈示し、その鮮度を被験者にアナログスケール等を用いて評価してたその際、刺激のサイズや輝度レベルの影響についても検討した。また、高齢被験者(70歳前後)と若年被験者の結果とを比較することで、高次質感の認知における加齢の影響も検討した。実験結果と刺激画像の各種情報量(輝度分布統計量、空間周波数情報、色情報、輝度プロファイルの微分値情報等)を比較検討した結果、鮮度を決定する手がかりを同定し、高次質感認知メカニズムを明らかにすることができた。次に、それらの手がかりのみを変化させた刺激画像を人工的に生成し、同様な被験者実験を行い、そのモデルの妥当性を検証した。また、刺激観察時の注視点移動を計測し、鮮度判定時の注目点についても検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成23年度の研究実施計画の内容を実施できただけでなく、刺激観察時の注視点移動を計測することで、実際の自然物の鮮度判定時における注目点に関する知見も得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
自然物の鮮度判定については多くの知見が得られた。今後は、人工物が経年変化した際に感じる「古さ度合」を定量化し、その高次質感認知メカニズムを解明し、画像処理によって任意の「経年変化」画像に変換・生成する技術の確立を推進する。また、自然物と人工物の結果を比較検討し、経時変化を推定する高次質感認知の統一モデルの構築についても検討する。
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