「鮮度」や「退色」という継時変化に関わる高次質感の認知メカニズムを解明し、鮮度判定システムを開発するとともに画像処理によって任意の「鮮度」を有する画像に変換・生成する技術を確立した。具体的には、照度レベルや背景の変化に対して鮮度感判定はロバストであることから、視覚系が対象内の相対輝度分布情報によって鮮度感を判定していることが示唆された。また、野菜の種類によって鮮度判定を場合分けすることで、数種の野菜の鮮度を画像情報から非侵襲で自動判定できることを示した。また、人工物を太陽光照射装置で紫外線による退色させ、その過程を2次元色彩計を使って測色計測し、各画素の測色値が数値データとなる画像情報を取得した。これにより、実際の物体の色情報を忠実に記録できるため、キャリブレーションされたモニタ上に実際の物体と同じ色の画像を正確に表示することができ、再現性のある実験と様々な画像処理を施した画像を統一的かつ一貫して実験室内で生成することが可能となった。経時時間すなわち退色度合いが異なる画像を視覚刺激としてモニタ上に呈示し、その退色度(古さ)を被験者に評価させ、その結果を解析した。その結果、画素値の非線形な色変換が退色過程に関与していることを明らかにした。また、空間的にその非線形変換の度合いを人為的に不均一化させることで、よりリアルな退色画像を生成できることを示し、実用的な退色・反退色画像生成ツールが実現できることを示した。さらに、肌知覚においても輝度分布の情報が寄与しており、拡散反射光と鏡面反射光の情報の役割を示すとともに、肌年齢等の画像解析手法を提案した。
|