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2011 年度 実績報告書

チンパンジーとヒトにおける質感情報処理に関する実験的検討

公募研究

研究領域質感認知の脳神経メカニズムと高度質感情報処理技術の融合的研究
研究課題/領域番号 23135516
研究機関京都大学

研究代表者

伊村 知子  京都大学, 霊長類研究所, 特定助教 (00552423)

キーワード比較認知科学 / チンパンジー / 質感知覚 / 鮮度 / 食物の認知 / 輝度ヒストグラム
研究概要

ヒトやその他の霊長類のように、多種多様な食物を摂取する種にとって、食物を適切に選択する能力は生存に不可欠である。ヒトでは、食物のテクスチャの視覚的な特徴から、食品の時間的変化を「鮮度」として判断することが報告されている(Wada et al,2010)。また、食物の「鮮度」の判断には、画像に含まれる輝度ヒストグラムの情報(尖度、歪度、標準偏差)が関わっていることが示唆されている。このような「鮮度」の判断は、腐敗した食物を避け、最も効率よくカロリーを摂取する上で生存に重要だと考えられるが、ヒト以外の種がどのように食物のテクスチャを知覚しているかについては十分に調べられていない。そこで、本研究では、ヒトには「鮮度」の違いとして判断される範囲での時間的な変化をもつ食物のテクスチャの知覚について、ヒトに最も近縁な動物であるチンパンジーを対象に検討し、ヒトと比較した。
京都大学霊長類研究所のチンパンジー4個体(年齢範囲:11歳~35歳)を対象に、キャベツの画像11枚を用いて、弁別能力を検討した。キャベツはチンパンジーが日常、食べている品目の1つである。キャベツの表面が時間経過とともに劣化していく画像(購入後1時間後,2時間後,3時間後,5時間後,8時間後,11時間後,15時間後,19時間後,23時間後,27時間後,32時間後)のペアをモニタ上に提示し、「鮮度の高い」方の画像を正解とした弁別訓練をおこなった。その結果、6個体中4個体のチンパンジーが、視覚的特徴に基づき、時系列の異なるキャベツの画像ペアを弁別した。画像をグレースケールに変換しても成績は低下しなかったが、画像に含まれるピクセルの配置をランダムに配置すると成績が低下したことから、輝度や空間情報が手がかりとなっている可能性が示唆された。さらに、訓練で使用していない新しいキャベツやホウレンソウの判断においても、より新鮮な方を選ぶ傾向が見られたことから、これらに共通した視覚情報を利用して違いを判断していることが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

新学術領域の班会議へ参加し、意見交換をしたことにより、当初の計画を部分的に変更したが、最終的には順調にデータ収集をおこなうことができた。

今後の研究の推進方策

研究代表者の異動に伴い、研究拠点が変更になったが、霊長類研究所でのデータ収集は終了しているので本プロジェクトの目的達成には問題がない。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Perception of Emergent Configurations In Humans (Homo sapiens) and Chimpanzees (Pan troglodytes)2012

    • 著者名/発表者名
      Goto, K., Imura, T., Tomonaga, M.
    • 雑誌名

      Journal of Experimental Psychology : Animal Behavior Processes

      巻: 38巻 ページ: 125-138

    • DOI

      DOI:10.1037/a0026899

    • 査読あり
  • [学会発表] スリット視条件における形態と運動の統合能力の初期発達2011

    • 著者名/発表者名
      伊村知子・白井述
    • 学会等名
      日本基礎心理学会第30回大会
    • 発表場所
      日本大学
    • 年月日
      2011-12-04
  • [学会発表] sual temporal integration on object recognition in chimpanzees and human2011

    • 著者名/発表者名
      Imura, T
    • 学会等名
      34th European Conference on Visual Perception
    • 発表場所
      Toulouse, France
    • 年月日
      2011-09-01
  • [学会発表] チンパンジーとヒトにおけるスリット視条件下の物体認識2011

    • 著者名/発表者名
      伊村知子
    • 学会等名
      第27回日本霊長類学会
    • 発表場所
      犬山国際観光センター・フロイデ
    • 年月日
      2011-07-17

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公開日: 2013-06-26  

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