公募研究
私は能動的に触覚器を動かすことによって触覚を得ること(能動的触知覚という)が「触覚による質感認知」において重要と考え、この能動的触知覚を実現する脳内機構を当該研究課題の目的とした。この課題の中では、ラットのヒゲ感覚系を題材とし、2つの具体的な実験テーマを設定した。(1)動いたヒゲが触れる対象物の形態情報を神経活動に変換する末梢システムの機構の解明。(2)覚醒動物における能動的触覚受容に対するニューロンの活動特性とそれらのニューロンが構成する神経回路構造の関係の解明。一つ目のテーマに関しては、ヒゲ情報を伝える一次求心性線維にガラス電極を刺入し、その線維の末梢側にある機械受容器の反応特性を調べた後、色素を注入して受容器の形態や位置関係を可視化した。受容器の形態学的分類やその位置と、反応特性の間には非常に重要な関連性があることを発見した。この結果は現在論文に執筆中であり、近々発表できる。二つ月のテーマに関しては、覚醒動物を固定してニューロンの反応を調べながらヒゲの運動も記録できるセットアップを構築する必要があった。高速ビデオカメラと画像解析システムによってリアルタイムで覚醒動物のヒゲの動きを数値化して記録するシステムを完成させた。リアルタイムでヒゲの運動を画像から数値化するシステムは世界で初めてである。平成24年度はこのシステムを使ってデータを出していく。
2: おおむね順調に進展している
申請書に書いた計画通り、末梢の受容器の形態学的特徴と反応特性との関連性を明らかにすることが出来たため。また、覚醒動物を用いた実験を行うためのセットアップを構築することに成功したため。
今のところ研究計画に大きな変更は無い。覚醒動物を用いた実験を重点的に行い、データを出していく。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (2件) 図書 (1件) 備考 (1件)
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