研究領域 | 質感認知の脳神経メカニズムと高度質感情報処理技術の融合的研究 |
研究課題/領域番号 |
23135527
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
宇賀 貴紀 順天堂大学, 医学部, 准教授 (50372933)
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キーワード | 視覚 / 大脳皮質 / 連合野 / 神経生理学 / 運動視 |
研究概要 |
自然界から得られる画像に含まれる動きをどのように抽出・分析するかを理解することは質感研究の重要な課題である。本研究では、自然画像中の動きが大脳皮質MT野やV1で正しく表現されているのか、正しく表現されているとしたら、どのような計算過程で行われているのかを検証する。そのため、従来、運動視の計算過程を調べるために用いられた視覚刺激と、自然画像やそれに近い視覚刺激への反応の違いを明らかにし、1次元運動から2次元運動への変換過程を解明する。具体的には、大脳皮質MT野とV1からニューロン活動を記録し、従来の運動視研究で用いられてきたgratingやplaid刺激、ランダムドット刺激に加え、自然画像や自然画像に近い刺激に対する反応を測定する。それぞれの刺激を様々な方向、速度に動かしたときの反応を解析することで、どのような視覚刺激の2次元運動を抽出できるのか、あるいは1次元運動しか抽出できないのかを検証する。今年度はgratingやplaid刺激、ランダムドット刺激に対するMT野神経活動の記録を完成させ、V1神経活動の記録を開始した。V1ニューロンは従来通り、1次元運動しか抽出しないという解釈に合致した結果が得られた。それに対して、MT野ニューロンは、より多くの時空間周波数成分や方位成分を含んだ刺激ほど正しく真の運動方向・速度を検出できた。すなわち、従来plaid刺激で知られていた以上の強い時空間統合メカニズムが働いていると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
gratingやplaid刺激、ランダムドット刺激に対するMT野神経活動の記録を完成させ、V1神経活動の記録を開始できた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、適切な自然画像、あるいは自然画像に近い刺激に対する反応を測定する。完全な自然画像を使ってもメカニズムの理解は難しいと思われるので、単純な2次元パターンを超えた、実験に使用可能な視覚刺激を来年度提案できるようにする。
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