公募研究
運動視の重要な問題の一つとして窓問題が挙げられる。小さい窓枠から物体の運動を見たとき、可視線分に垂直な動きの方向しか検出できないため、真の運動方向を決定できない。理論的には少なくとも2つの成分が検出できれば、真の運動方向を検出できる。どのようにして方位の統合が行われているのかを知ることは運動視の計算メカニズムを理解する上で重要である。我々はこれまで、サル大脳皮質MT野において、時空間周波数成分や方位成分が限られた視覚刺激(gratingやplaid)と多くの時空間周波数成分や方位成分を含んだランダムドット刺激との運動方向・速度選択性を比較した結果、ランダムドット刺激ではより正しく真の運動方向・速度を検出できることを報告した。しかし、これがどのようなメカニズムで実現されるかは不明であった。そこで、運動視の計算理論では最も普及しているSimoncelli Heeger(1998)のモデルを用い、方位成分の統合範囲及びopponent inhibitionの度合いを変えることでこれらの結果を説明できるかシミュレーションを行った。その結果、典型的なMT野ニューロンのplaid刺激に対するパターン特性とランダムドット刺激に対する運動方向・速度選択性を両方説明するには、157.5°程度の方位からの統合、さらには興奮・抑制の重みが約10:9であること、が必要であることがわかった。さらに抑制なしから興奮・抑制の重みが1:1までの範囲、および統合が90°から180°の範囲で40%(25/62)のMT野ニューロンの選択性を説明できることがわかった。抑制はplaidのパターン特性獲得にのみ強く貢献することから、自然界での動きの検出には抑制は重要でないと考えられる。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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