研究領域 | 統合的多階層生体機能学領域の確立とその応用 |
研究課題/領域番号 |
23136501
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
尾野 恭一 秋田大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70185635)
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キーワード | 心臓自動能 / シミュレーション / 洞房結節 / 発達 / イオンチャネル |
研究概要 |
個体の心拍リズムは洞房結節の発火頻度により決まる。洞房結節細胞には自動性がそなわっており、その仕組みについて、細胞の微細構造や細胞内あるいは細胞膜分子(蛋白質)の定量的な解析に基づいた数理モデルが提唱されている。本研究では、この手法を生後発達に伴うマウスの心拍数変化に応用し、心臓ペースメーカー機転に関わる分子の生後変化を定量・数式化し、コンピュータ上で再現することを目的としてスタートした。平成23年度は主として電気生理学的解析を行い、以下の実験結果を得た。 1)in vivoの心拍数測定:当研究室で開発されたピエゾセンサーを用いて、非侵襲的に生直後マウスからの心拍数測定をおこなった。その結果、自律神経の影響を遮断した環境下において、マウスの心拍数は生直後300回/分程度であり、生後4日頃より次第に増加し、生後10日目で成獣とほぼ同等の約450回/分に達した。 2)洞房結節標本を用いた薬理学的解析:単離した洞房結節標本の拍動数は生体の自律神経遮断下の内因性心拍数とほぼ同じ生後変化を示した.種々のイオンチャネルの阻害薬の効果を検討したところ、T型Caチャネルに選択性を有するMibefradilが生直後よりも成獣において強い心拍抑制作用を有することがわかった。 3)単離洞房結節細胞を用いたイオン電流の記録とその機能解析及:単離細胞よりイオン電流を記録し、その電流密度及びキネティクスを測定した。L型Ca電流の電流電圧特性が新生マウスにおいては成獣よりも脱分極側にシフトしており、T型Caチャネル電流振幅は新生マウスでは小さい傾向が見られた。 これらの結果から、Ca電流の電流密度およびキネティクスの変化が生後の心拍数変化に関与していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シミュレーション構築に必要な電気生理学的データをほぼ収集することができた。次年度に向けて着実に進んでいると評価している。
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今後の研究の推進方策 |
今年度はシミュレーションに着手する。申請者がかつて作成に参加した「ウサギ洞房結節興奮モデルKyoto Model」をテンプレートとしてプログラミングを行うが、領域班の研究者より最新の開発環境が発表されており、それらを用いたシミュレーションも併せて進めていきたい。
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