研究領域 | 統合的多階層生体機能学領域の確立とその応用 |
研究課題/領域番号 |
23136508
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
吉岡 靖雄 大阪大学, 薬学研究科, 准教授 (00392308)
|
キーワード | ナノマテリアル / 体内・細胞内動態 / 安全性評価 / 予測創薬 / in silico / 多階層 |
研究概要 |
近年、有用なナノマテリアルが数多く開発され、薬物送達システム(DDS)への展開が図られている。このナノDDS医薬は、これまでの素材に無い医薬的価値に優れた画期的機能を有することから、次世代医薬の筆頭として注目されている。一方で近年、ナノマテリアルの革新的機能が、二面性を呈してしまい、予期しにくい未知の毒性(NanoTox)を発現してしまうことが世界的に強く危惧されている。そこで本申請研究では、ナノDDS医薬の主剤・担体として期待されている非晶質ナノシリカ等に関して、『ナノマテリアルの物性情報(一次粒径、形状、表面電荷など)』-『体内・組織内・細胞内の多階層における動態情報』-『安全性情報』の連関情報を実験科学により収集し、ナノマテリアルの物性から、多階層における動態、さらには安全性を高確度に予測し得る"NanoTox予測基盤システム"の確立を図り、最終的に有効かつ安全なナノDDS医薬開発を支援しようとするものである。本年度は、ナノマテリアルの1種である非晶質ナノシリカと血清蛋白質との相互作用を解析することで、物性情報と安全性情報の連関情報の収集を図った。その結果、非晶質ナノシリカは、数多くの血清蛋白質と相互作用するとともに、その表面電荷の違いにより相互作用する蛋白質の種類が異なることが判明した。さらに、ICP-MSを用い、ナノ白金粒子の細胞内取り込み量を定量的に測定可能なシステムの構築を図った。来年度は、各種細胞を用い、細胞内への取り込みを含む細胞内動態解析を実施するとともに、体内動態解析をも実施することで、多階層における動態情報を収集する予定である。本結果が、"NanoTox予測基盤システム"の確立に繋がり、多階層における生体システム理解に繋がることが期待される。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大きなトラブルも無く、当初の予定通り検討を実施できている。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度はおおむね順調に研究が進展していることから、来年度についても当初の予定通り検討を推進する予定である。
|