研究領域 | 統合的多階層生体機能学領域の確立とその応用 |
研究課題/領域番号 |
23136514
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
呉林 なごみ 順天堂大学, 医学部, 准教授 (50133335)
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キーワード | 不整脈 / 組織イメージング / 心臓 / 心不全 / カルシウム / 睡眠時無呼吸症候群 / 拡張型心筋症 |
研究概要 |
本研究の目的は、不整脈モデルを用いて不整脈の発生メカニズムを包括的に理解する事である。即ち(1)細胞内Ca^<2+>および膜電位データ、蛋白、遺伝子発現解析、生体データ等を系統的に取得し、複数種類の不整脈モデルの不整脈発生メカニズムを検討、(2)また不整脈メカニズムを阻害剤などによって実験的に検証することにより、(3)不整脈発生のスキームを構築し、(4)シミュレーション解析によって検証する。このうち、我々の主要な目的は1-3までを包括的に行うことである。本年度は3種類の病態モデル「Ca^<2+>過負荷モデル」「拡張型心筋症(DCM)マウスモデル」「睡眠時無呼吸症候群(SAS)モデルラット(間歇的低酸素(IH)下で飼育)」を準備し、各種のデータ取得を計画した。 DCMモデルマウスの研究では、DCMの経時的進行を調べることにより、種々のリモデリングの過程のうち、同時に起こる複数のK^+チャネルの減少がDCM突然死に密接に関与することを見出した(Suzuki et al,In press)。また、DCMには突然死および心不全の二つの主要な病態があるが、これを同一のマウスモデルから再現し別個のグループとして解析できることを示した(Sugihara et al投稿中)。SASモデルラットは3-6週間のIH処置後に解析を行った。SASモデル動物の心臓は右心肥大の兆候はあるものの不整脈の発生には至らなかった。一方で、虚血再灌流時の低酸素抵抗性が亢進していたので、現在その理由について検討している。Ca^<2+>過負荷モデルでは、Ca^<2+>と膜電位の同時測定により、興奮収縮連関異常の原因解析を行ったところ、Ca^<2+>過負荷時の興奮収縮連関異常がみられた。リアノジン受容体(RyR2)安定発現HEK細胞を用いた検討により、RyR2チャネル調飾機構の鯵析を進めている(生理学会大会、シンポジウム発表)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
DCMモデルおよびCa2+過負荷モデルのデータ解析が比較的順調に進んでいる。一方、SASモデルに関しては、間欠的低酸素により不整脈発生が認められなかった。しかし、いくつか興味深いリモデリングが心筋に認められたので、その解析を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
DCMモデルおよびCa2+過負荷モデルに関してはそのまま研究を進める。 一方、SASモデルは、健常ラットから作成すると不整脈を起こさないので、成人病を模し糖尿病や高血圧などの病態動物を用い、間欠的低酸素が不整脈を起こすか検討する。また、右心肥大や筋原繊維のリモデリングは認められるので、不整脈の除外条件が得られ、これも良いシミュレーションモデルとなると考えている。
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