研究領域 | 次世代アストロケミストリー:素過程理解に基づく学理の再構築 |
研究課題/領域番号 |
23H03993
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
立川 仁典 横浜市立大学, 生命ナノシステム科学研究科(八景キャンパス), 教授 (00267410)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 重水素濃縮 / 水素の量子効果 / H/D同位体効果 / 多成分系分子理論 |
研究実績の概要 |
本研究では、立川が独自に開発・実装してきた、水素原子の量子力学的効果を直接考慮できる新しい量子化学である、(1) 量子多成分系分子理論の高度化とデータ科学との融合による新規システムの構築により、(2) 星間分子雲における重水素体の生成機構を解明する。具体的には、立川の量子多成分系分子理論を軸に、周囲環境を階層的に取り込む多階層マルチスケール法やさらにはデータ科学手法を実装する。これにより、氷表面におけるH2COやCH3OH分子の重水素体の生成反応や、重水素化有機物の生成反応を計算し、重水素濃縮機構の解明に挑む。 本年度は、量子多成分系分子理論の高度化として、立川が開発した量子多成分系分子理論において、ハイブリッド手法を導入した。一方、星間塵氷表面での水素の量子効果を含めた化学反応の計算を実現するために、周囲環境の効果を計算レベルに応じて階層的な場として繰り込む多階層マルチスケール手法を開発した。具体的計算としては、まずはCOへのH・D原子付加および引き抜き反応に焦点を充て、CO分子へのH原子とD原子の付加反応を計算した。現在、氷表面も含めた生成反応に関する大規模精密計算のための準備計算を行っている。また、研究協力者の桑畑は、氷構造の相転移計算を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、囲環境の効果を計算レベルに応じて階層的な場として繰り込む多階層マルチスケール手法を開発した。具体的計算としては、まずはCOへのH・D原子付加および引き抜き反応に焦点を充て、CO分子へのH原子とD原子の付加反応を計算した。た、研究協力者の桑畑は、氷構造の相転移計算を実施した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、立川が独自に開発・実装してきた、水素原子の量子力学的効果を直接考慮できる新しい量子化学である、(1) 量子多成分系分子理論の高度化とデータ科学との融合による新規システムの構築により、(2) 星間分子雲における重水素体の生成機構を解明する。具体的には、立川の量子多成分系分子理論を軸に、周囲環境を階層的に取り込む多階層マルチスケール法やさらにはデータ科学手法を実装する。これにより、氷表面におけるH2COやCH3OH分子の重水素体の生成反応や、重水素化有機物の生成反応を計算し、重水素濃縮機構の解明に挑む。 本年度は、量子多成分系分子理論の高度化として、立川が開発した量子多成分系分子理論を軸に、囲環境の効果を計算レベルに応じて階層的な場として繰り込む多階層マルチスケール手法を高度化する。また具体的計算としては、氷表面におけるCOへのH・D原子付加および引き抜き反応に焦点を充てる。H2COやCH3OH分子は、星間塵を覆う氷表面において、CO分子にH原子が逐次付加反応によって生成する。実際の分子雲では付加反応だけではなく、H原子によるD原子の引き抜き反応も提案されている。そこで、氷表面も含めた生成反応に関する大規模精密計算を実施し、星間分子雲における重水素濃縮を議論する。
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