公募研究
スピンと双極子が共存するフェリ磁性誘電体としてガーネット型酸化鉄に着目し、希土類置換、薄膜形成時の斜格子歪導入による空間反転対称性の破れ効果により、双極子秩序(強誘電性)フォノンのソフト化の実現を目指した。スピンと双極子が共存する物質系としてガーネット型酸化鉄(R3Fe5O12)を対象とし、a)実証済みのR=Sm以外の希土類を対象として、イオン半径およびf電子数を系統的に変化させたR=Lu-Dyを選択すると共に、b)単結晶基板として入手可能な3種のガーネット結晶と組み合わせることで、0-4%の格子ミスマッチ(不整合)により格子歪を系統的に導入し、スピン-フォノン交差相関を最大にする最適化条件を探索した。この局所的な傾斜結晶格子歪導入による空間反転対称性の破れ効果により:双極子強結合 (強誘電性)の実現と、傾角スピンと中心対称の破れの相乗効果によるDzyaloshinskii-Moriya相関によりスピン・フォノン結合型マグノン誘起が期待され、これらの結果を参考にして、ガーネット型単結晶以外の適用も可能な物質系であるスピネル型結晶やペロブスカイト型結晶、蛍石型結晶等の磁気誘電体材料へも拡張した。さらに、磁性-非磁性イオン配置の超秩序系としてスピングラス材料についても研究対象を拡張し、ガーネット型酸化において室温でスピングラス(クラスターグラス)状態を発現する物質の合成に成功した。
2: おおむね順調に進展している
研究計画に沿って研究を進めており、順調に進展していると考えられるため。
ガーネット型酸化鉄(R3Fe5O12)を対象とし、a)報告済みのR=Sm以外の希土類を対象として、イオン半径およびf電子数を系統的に変化させたR= Lu、Ho、Y等を選択すると共に、b)単結晶基板として入手可能な3種のガーネット結晶と組み合わせることで、-2%から+2%の格子ミスマッチ(不整合)により格子歪を系統的に導入し、スピン-フォノン交差相関を最大にする最適化条件を探索する。この局所的な傾斜結晶格子歪導入による空間反転対称性の破れ効果により:双極子強結合 (強誘電性)の実現と、傾角スピンと中心対称の破れの相乗効果によるDzyaloshinskii-Moriya相関によりスピン・フォノン結合型マグノン誘起が期待される。これらの結果を参考にして、ガーネット型単結晶以外の適用も可能な物質系であるスピネル型結晶やペロブスカイト型結晶、蛍石型結晶等の磁気誘電体材料へも拡張していく。さらに、磁性-非磁性イオン配置の超秩序系と、ランダムネスとフラストレーションを制御することで創発するスピングラス物性に関して、ガーネット型酸化鉄に加えて、スピネル型酸化鉄に対象を拡張して室温スピングラス(クラスターグラス)状態を発現する物質の合成に挑戦する。
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すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (55件) (うち国際学会 19件、 招待講演 4件) 備考 (1件)
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