公募研究
近年の生命科学における多細胞システム研究では、システム全体の動作と個々の細胞の動作を同時に捉えるために、光学イメージングの大視野化が重要な技術の一つとなっている。従来の生物顕微鏡はレンズの性能、筐体の構造、イメージセンサーの画素数などの制限により、必ずしもその需要に応えられていなかった。本研究では、研究代表者がこれまでに開発してきた、センチメーターを越える視野全域を1細胞分解能で観察できるイメージング系を基軸として、個体や組織などの散乱体内部を三次元イメージングを実現することを目指す。初年度は、下記の2つの要素技術開発課題を実施した。(1)多点共焦点ディスクの設計多点共焦点イメージングのためのピンホールディスクアレイを試作し、共焦点イメージング系を構築し、その深さ選択性を蛍光ビーズによって実証した。共焦点ディスクの透過率を上げるために、ピンホール径とピンホール間隔を変更したピンホールアレイを試作し、光学性能を調べた。高い透過率が必要な場合にピンホール径6um、ピンホール間隔18umのピンホールアレイが有効であることが分かった。(2)励起光量の向上現状のピンホールアレイディスクでは、励起光の多くがピンホールアレイのピンホールのない場所で反射されてしまうため、光の利用効率が数%に留まる。そこで、複数のレーザー光源を液体ライトガイドで結合する手法を提案した。これにより、従来よりも数倍の明るさで試料を照明できるようになった。以上の2つの要素技術開発によって、従来よりも5倍程度の明るいイメージングを実現した。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画どおりに研究が進捗している。
2年度は、これまでの要素技術開発を更に進めながら、並行して、モデル生物の胚発生における三次元タイムラプスイメージングに応用を進める。マウス、鳥類、魚類のモデル生物の観察を予定する。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)
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巻: - ページ: e93633
10.7554/elife.93633.1
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