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2023 年度 実績報告書

アストロサイトによる脳内幸せシグナルのデコーディング機構

公募研究

研究領域グリアデコーディング:脳-身体連関を規定するグリア情報の読み出しと理解
研究課題/領域番号 23H04167
研究機関大阪大学

研究代表者

稲生 大輔  大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任講師(常勤) (40721981)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2025-03-31
キーワードオキシトシン / グリア細胞 / 蛍光イメージング
研究実績の概要

脳内で“幸せ”という感覚は何に起因するのであろうか? これまでに幸せを感じると脳の中では、オキシトシンと呼ばれる“幸せホルモン”が増加することが示唆されてきている。しかしながら、既存手法を用いて、生きた動物の脳内のオキシトシン動態を精度よく計測することは困難である。そこで、脳内におけるオキシトシン動態を蛍光イメージングにより高感度測定のための新規技術開発を行ってきた。オキシトシン受容体の細胞内ドメインにGFPを挿入したキメラタンパク質にランダム変異を導入し指向性分子進化を施すことで、オキシトシン結合により約8倍蛍光強度が変化する世界初のオキシトシン蛍光センサーを開発することに成功した。本蛍光センサーを、アデノ随伴ウイルスにより生きたマウス脳内に導入し、ファイバーフォトメトリー法によるin vivo脳内オキシトシン動態測定を行ったところ、脳内においてオキシトシンは刺激の種類や行動パターンに依存して多種多様な応答を示すことが明らかとなった。次なる課題は脳内で変動するオキシトシンの信号がどの細胞種が読み取っているか? という謎を明らかにすることである。これまで様々な脳部位の神経細胞が脳内のオキシトシンシグナルの主要な標的として想定され、研究が繰り広げられてきた。しかしながら近年、グリア細胞もオキシトシンのデコーダーとなる可能性が示唆されてきている。そこで本研究では、脳内にオキシトシン刺激が入力した時に脳内のどのグリア細胞の応答を示すかを明らかにすることを目指した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

予備的な実験として、脳内にオキシトシンを付加した時の、グリア細胞の活性化を解析した。すると一部のグリア細胞において活性化マーカーであるc-fosの発現が上昇することが明らかとなった。c-fos陽性細胞がどのような細胞集団であるかは解析中である。

今後の研究の推進方策

今後は光遺伝学/薬理遺伝学や生理的な刺激を与えた時に同様の脳内反応が見られるかを明らかにしていきたい。また、オキシトシン刺激を受容したグリア細胞から神経細胞に対しては様々なフィードバックシグナルが送られていると推測される。新たな可視化プローブを開発するなどして、オキシトシンを基軸とした神経-グリア間相互作用の実体に迫っていきたい。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Classification of multiple emotional states from facial expressions in head-fixed mice using a deep learning-based image analysis2023

    • 著者名/発表者名
      Tanaka Y, Nakata T, Hibino H, Nishiyama M, Ino D
    • 雑誌名

      PLoS ONE

      巻: 18 ページ: e0288930

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0288930. eCollection 2023.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] A strategy for low-cost portable monitoring of plasma drug concentrations using a sustainable boron-doped-diamond chip2023

    • 著者名/発表者名
      Saiki T, Ogata G, Sawamura S, Asai K, Razvina O, Watanabe K, Kato R, Zhang Q, Akiyama K, Madhurantakam S, Ahmad NB, Ino D, Nashimoto H, Matsumoto Y, Moriyama M, Horii A, Kondo C, Ochiai R, Kusuhara H, Saijo Y, Einaga Y, Hibino H.
    • 雑誌名

      Heliyon

      巻: 9 ページ: e15963

    • DOI

      10.1016/j.heliyon.2023.e15963.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 細胞外シグナル動態をライブ解析するための 新規蛍光センサー開発2024

    • 著者名/発表者名
      稲生 大輔
    • 学会等名
      第101回日本生理学会大会
  • [学会発表] 細胞外シグナル動態をとらえる 蛍光センサーの開発2023

    • 著者名/発表者名
      稲生 大輔
    • 学会等名
      第5回 形態解析ワークショップ
    • 招待講演
  • [学会発表] 細胞外シグナル動態をとらえる 蛍光センサーの開発2023

    • 著者名/発表者名
      稲生 大輔
    • 学会等名
      第90回 Blood Vessel Club
    • 招待講演
  • [学会発表] 深層学習によるマウスの表情解析ツールの開発2023

    • 著者名/発表者名
      田中 雄大、中田 卓人、日比野 浩、西山 正章、稲生 大輔
    • 学会等名
      生理研研究会: 細胞システム理解のためのシグナル応答原理解明の最前線

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公開日: 2024-12-25  

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