研究実績の概要 |
自閉症モデルマウスであるneuroligin-3 R704C knock-inマウスにセロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)であるfluoxetineを投与し、three-chamber試験において、社会新奇嗜好性の低下が改善されることを確認した。また、neuroligin-3 R451C knock-inマウスと野生型コントロールマウスにBrdUを投与する実験を行い、組織学的解析により、neuroligin-3 R451C knock-inマウスの腹側海馬歯状回での成熟後神経新生が低下していることを確認した。これらの研究と並行して、野生型妊娠マウスにニコチンを含む飲料水を摂取させ、胎児期ニコチン暴露マウスを作成した。これらのマウスは、ADHDモデルになることが知られていたが、行動実験により、ADHD関連行動を確認するとともに、juvenile interaction試験を行い、これらのマウスでは社会性が低下していることを見出した。これらの解析において、深層学習を用いたマウスの社会行動の自動検出システムの開発も行い、成功した。さらに、胎児期ニコチン暴露マウスについて、BrdU投与実験を行い、これらのマウスの腹側海馬歯状回で、成熟後神経新生が低下していることも見出した。胎児期ニコチン暴露マウスが、ADHDに加え、自閉症様症状を呈することを見出した成果と、これらの研究過程で深層学習を用いた行動異常の自動検出システムを開発したことに関する論文を発表した(Deep-Learning-Based Analysis Reveals a Social Behavior Deficit in Mice Exposed Prenatally to Nicotine. Zhou M, Qiu W, Ohashi N, Sun L, Wronski ML, Kouyama-Suzuki E, Shirai Y, Yanagawa T, Mori T, Tabuchi K. Cells. 2024 Feb 1;13(3):275. )。
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