公募研究
脳内では記憶や学習に応じてシナプス形成やシナプス後部を形成するスパインの体積の増大が見られることが分かっており、このような可塑性が海馬で起こる時期を研究代表者らは海馬の臨界期と定義している。我々は最近、光照射でシナプスの可塑的変化を誘起(induced plasticity:iPlasticity)することが可能な光応答性分子Photoactivatable CaMKII (paCaMKII)の開発に成功した。本研究では、光応答性CaMKIIによるiPlasticityが起こる過程で発現する遺伝子のマイクロアレイによる同定を進めている。現在までに、光応答性CaMKIIをコードするアデノ随伴ウイルスの作製を進め、大脳皮質神経細胞の分散培養の系paCaMKIIを青色光で活性化したときに発現する遺伝子群の同定に成功している。また、現在までに海馬スライスを用いて、より生理状態に近い環境でpaCaMKIIを活性化した時の遺伝子発現変化を調べる系を立ち上げている。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画通り、paCaMKIIを発現する分散大脳皮質神経細胞でDNAマイクロアレイにより発現変化遺伝子群の同定に成功している。また、海馬スライスでの系も順調に立ち上げが進んでおり、研究は極めて順調に進んでいる。
今後は海馬スライスでのDNAマイクロアレイによりpaCaMKII活性化後の発現変化遺伝子群の同定を進める。また、paCaMKIIをスパイン内に特異的に局在させる新規プローブの開発や発現増加した遺伝子のFRETセンサーを開発も進める。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 4件)
Science Advances
巻: 9(26) ページ: eadh1069
10.1126/sciadv.adh106
Biophysics and Physicobiology
巻: 20 ページ: e200027
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