研究領域 | マルチファセット・プロテインズ:拡大し変容するタンパク質の世界 |
研究課題/領域番号 |
23H04247
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
内原 脩貴 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 助教 (10883712)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | DNA損傷修復 / HLAクラスI / 次世代シーケンス解析 / 非典型的翻訳 |
研究実績の概要 |
これまでにDNA損傷により典型的な翻訳を担う分子であるeIF2aの活性が阻害されること、AUG類似開始コドンからの翻訳が促進することが報告されている。そこで本研究では、DNA損傷により生じるAUG類似開始コドン由来の翻訳産物の同定およびそれら産物がDNA修復に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。 今年度は、リボソームが結合するmRNA領域を網羅的に同定する手法であるリボソームプロファイリングにより、DNA損傷後の翻訳開始点変化を解析した。DNA損傷誘導刺激としてX線使用し、X線照射一定時間後にリボソームプロファイリングを行った。翻訳開始点にリボソームを濃縮するために、サンプル回収直前にハリングトニンを処理した。リボソームフットプリントのライブラリーを調製し、次世代シーケンス後、ゲノムにマッピングしMetagene解析およびIGVによる可視化を行った。Metagene解析により、CDS内に3塩基周期毎のピークが認められることが確認できた。また、イントロン領域にピークが検出されないこと、ハリングトニン処理により翻訳開始点近傍にピークが濃縮されていることを確認した。ハリングトニン処理した条件において、27種類のDNA修復分子の翻訳開始点近傍をX線照射前後で比較した。その結果、2種類の遺伝子で翻訳開始点近傍のリードの分布パターンが変化していることが示唆された。今後、AUG類似開始コドン由来の翻訳産物がDNA 二本鎖切断修復に及ぼす影響について解析していく必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、リボソームプロファイリング法によりX線照射前後の翻訳開始点近傍の変化を解析できた。よって、本研究はおおむね計画通りに進んでおり、進捗状況は順調である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、AUG開始コドンからの翻訳に寄与するeIF2aやnon-AUG開始コドンからの翻訳に寄与するeIF2AおよびeIF5がDSB修復に及ぼす影響について検討を進める予定である。
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