今後の研究の推進方策 |
特定の染色体のセントロメア近傍を可視化したRPE-1細胞を用いて、以下の研究を行う。 1.分裂期染色体の長さと染色体整列との関連の解明 i) 染色体整列時の紡錘体上での位置に対する染色体の長さの影響 上記の細胞を、核膜崩壊から分裂中期に染色体が整列するまでライブセルイメージングで観察し、可視化された染色体が紡錘体の内部に位置するか表面に位置するかを評価する。核膜崩壊時の染色体の位置が、分裂期初期の紡錘体内での位置を規定すると考えられるため、ラミンA/C, ラミンB1, B2, コンデンシンIIなどの発現を抑制することによって間期の染色体配置を変化させ、その後の染色体整列時の紡錘体内での位置を検討する。 ii) 紡錘体上の染色体の位置を制御する機構の解明 上記の細胞で、染色体腕部にはたらくモーター分子であるクロモキネシンと呼ばれるKid, Kif4Aや、動原体に結合した微小管にはたらくモーター分子であるKif18Aを抑制した際の、可視化された染色体の紡錘体内での動態の変化を観察する。紡錘体内での染色体動態に影響を与えることが判明した分子について、様々な変異体を発現させ、染色体動態制御に影響を与える領域を同定する。またTSA処理によってヒストン脱アセチル化を阻害し、微小管の染色体腕部への作用を減弱させた場合の染色体動態への影響を調べる。これらにより、紡錘体上の染色体の位置を制御する機構を明らかにする。 2. 分裂期染色体の長さと染色体分配との関連の解明 特定の染色体のセントロメア近傍を可視化したRPE-1細胞を、染色体分配に影響を与える種々の薬剤で処理した際の、それぞれの染色体の不均等分配の頻度を検討する。1.ii)で検討した紡錘体上の染色体の位置を制御する機構を阻害した場合の、染色体分配異常への影響を調べ、紡錘体内での染色体動態と染色体分配の正確性との関連を明らかにする。
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