公募研究
高効率な文字列アルゴリズムの開発には,文字列が持つ数理的性質の理解が重要である.文字列の特徴を捉える際に利用される構造や性質は,辞書式順序依存な構造と辞書式順序非依存な構造に大別される.辞書式順序依存な構造におけるこれまでの研究では,暗に与えられた辞書式順序のみを考えているに過ぎなかった.本研究では辞書式順序に依存する問題に着目し,組合せ論・計算量理論・アルゴリズム論の三方向から,辞書式順序が与える文字列構造への影響を解明することを目的としている.1年目にあたる2023年度では,関連する4件の研究成果を,分野の中心会議であるCPMおよびSPIRE(査読付き国際会議)にて発表済みである.うち2件は,領域内の他班の研究者らとの共同研究であり,自身の研究を軸としながら積極的に班間連携にも取り組んでいる.特に本研究に最も深く関わる研究成果をプレプリントサーバーにて公開済みである.この成果は,辞書式順序に依存した圧縮表現の一種であるlex-parseを対象とし,異なる辞書式順序における圧縮表現の変化について理論的解析を与えたものである.またlex-parseの圧縮感度(文字列の編集操作に対する圧縮表現の変化)についても,フィボナッチ文字列と呼ばれる特徴的な文字列およびその性質を利用することで,圧縮感度のタイトな下界を与えることにも成功している.また,その他の辞書式順序依存の圧縮表現・圧縮法に対しても,辞書式順序の変化に対する振る舞いについて,知見を得ている.
2: おおむね順調に進展している
前身的な位置づけにある研究課題から引き続き取り組んでいた研究について,プレプリントサーバーにて公開,関連する研究成果の国際会議での発表など,着実に研究が進展している.現時点で公開できていない成果についても公開準備中であり,おおむね順調に進展しているといえる.
引き続き,研究計画に基づいて研究を推し進める予定である.領域の活性化に貢献するため,班間連携等にも積極的に取り組む.
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 4件)
Proceedings of 34th Annual Symposium on Combinatorial Pattern Matching
巻: LIPIcs 259 ページ: 3:1-3:11
10.4230/LIPIcs.CPM.2023.3
Proceedings of 30th International Symposium on String Processing and Information Retrieval
巻: LNCS 14240 ページ: 28-34
10.1007/978-3-031-43980-3_3
巻: LNCS 14240 ページ: 284-296
10.1007/978-3-031-43980-3_23
巻: LNCS 14240 ページ: 331-344
10.1007/978-3-031-43980-3_27