研究実績の概要 |
カオス的ダイナミクスに関する観測時系列データを用いてその近似時系列を生成する時間発展モデルを構築する手法はさまざまな分野で求められている.昨今,複雑現象に関する多様な時系列が入手可能となっているが,それが決定論的な現象である場合においても,その背後に存在する決定論的メカニズムが十分に解明されている例は多くない.本研究では,研究代表者らが開発した観測可能な変数とその時間遅れ変数,すなわち意味付け可能な変数のみで記述されるデータ駆動微分方程式モデリング手法を改良深化させた.そして,高次元ダイナミクス,間欠性ダイナミクスなど,幅広い複雑現象のモデリングならびに解析に応用した.その研究成果は,査読付きの国際学術雑誌 N. Tsutsumi, K. Nakai and Y. Saiki, Constructing low-dimensional ordinary differential equations from chaotic time series of high- or infinite-dimensional systems using radial-function-based regression, Physical Review E 108 (5), 054220: 1-13, 2023 に発表された.また,比較的発達した流体ダイナミクスの時間発展モデリングに有効な手法を新たに開発した.
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