本研究の目的は,相対測位データのための新しい記述子を開発することで,非GPS環境に おける移動体群のリアルタイム測位・制御における問題を解決することである.さらに,さらに,その原理に基づく測位・制御システムを設計・開発し,その応用可能性を示すことも目的とする.この問題を解決するため,相対測位データ・ビッグデータ・最適制御という3つの課題が考えられる.本年度はそのうち相対測位データとビッグデータに着目した研究を行った. まず,相対測位については,その本質を捉え,測位精度を向上させるため,相対測位特有の測位データを扱う記述子「リー群を変換群とする作用」を提案した.具体的には,位置・姿勢・スケールに関する不変性を有した変換群を用いることで,マルチロボット・ターゲットの位置推定を同時に高精度に行うオンライン・オフライン法を開発した.さらに,シミュレーションによってその有効性を示した. 次に,ビッグデータについては,複数カメラによる物体認識のために,畳み込みニューラルネットワークフィルタ(CNN)によって処理し,その結果を融合処理する「CNNフィルタ」を考案した.具体的には,CNNを用いてカメラ毎のデータの統計情報を取得し,全てのカメラから得られた情報を融合することで,認識精度・速度を向上させる技術を開発した.さらに,実際のカメラ画像に疑似ノイズを加えた実環境に近い状況におけるシミュレーションを行い,その有効性を示した.
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