公募研究
実施事項1 調和振動/緩和振動らしさの定量化手法の開発概日リズムの調和振動子らしさ、緩和振動子らしさを定量化する。予備的知見で用いたSNIC分岐標準形モデルの考察を深め、調和振動/緩和振動らしさを表すパラメータμと曲率の対応について考察を深めた。また概日リズムのモデルとして知られているGoodwinモデルについて、理論の一般性に注意して確認を行った。実施事項2 シアノバクテリア1細胞概日リズム波形の精緻化技術の開発(応用)申請者が研究対象とするシアノバクテリア概日リズムにおいて、もっともノイズの少なく明確な波形データを得るには蛍光顕微鏡による1細胞の概日リズムを観察することが適切である。しかし、式で示したように曲率の値の観察には、時間の3階微分が含まれている。これまでの計測手法では1時間に一回程度の時間間隔でリズムを観察するのが伝統的な方法であるが、3階微分を精度よく求めるには、時間分解能をあげるには、克服するべき実験技術の改善がある。たとえば、蛍光タンパク質を用いて遺伝子発現量を観察する際に、励起光を細胞に照射する。しかし励起光自体が光障害と呼ばれる作用を引きおこし、また概日時計自身にも影響を及ぼすので、いくらでも時間分解能をあげることはできない。そこで励起光の波長・照射量・照射時間の最適化の検討を行い、高い時間分解能を得ることができた。これにより、シアノバクテリアの時間生物学において、もっとも時間分解能の高いシアノバクテリア1細胞レベルの遺伝子発現リズムを得ることができた。
2: おおむね順調に進展している
実施事項1 調和振動/緩和振動らしさの定量化手法の開発共同研究者である長崎大学の加葉田氏との議論を重ね、非緩和的振動という概念の導入によって、生物リズムを分類するというアイデアに到達した。特に概日時計の中心振動体のモデルとしてよく使われるGoowdinモデルを利用して、その軌道の曲率について、数値的解析を行い、いかなるパラメータでもz-dz/dt平面上での軌道が凸となることを明らかにした。また、解析的にこれを示すための方策を検討し、モデル中ヒル係数最大の極限のモデルで、検討を行った。曲率負を保つための初期値の集合を明らかにした。実施事項2 シアノバクテリア1細胞概日リズム波形の精緻化技術の開発実験系のリファインを行い、高精度でシアノバクテリア概日リズムが観察する系の開発に成功した。また顕微鏡画像の解析についても改善を行い、セグメンテーションとリンキングの自動化を行うプログラムの開発に成功した。
実施事項1 調和振動/緩和振動らしさの定量化手法の開発概日リズムの調和振動子らしさ、緩和振動子らしさを定量化する。数値的シミュレーションから得られた曲率の変化と調和振動/緩和振動らしさを対応づける機械学習のモデルを作成し、曲率が「記述子」としての役割を果たすことを示す。実施事項2 シアノバクテリア1細胞概日リズム波形の精緻化技術の開発(応用)申請者が研究対象とするシアノバクテリア概日リズムにおいて、もっともノイズの少なく明確な波形データを得るには蛍光顕微鏡による1細胞の概日リズムを観察することが適切である。時間分解能をあげるために光障害の少ない蛍光タンパク質への転換、励起光の波長・照射量・照射時間の最適化の検討をさらに行い、数分オーダーの時間分解能を得ることを目指す。温度変化、照度変化による概日時計の波形の変化を観察する。
すべて 2023 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)
Frontiers in Applied Mathematics and Statistics
巻: 9 ページ: 1274846
10.3389/fams.2023.1274846
Journal of Theoretical Biology
巻: 574 ページ: 111621~111621
10.1016/j.jtbi.2023.111621
https://www.design.kyushu-u.ac.jp/~hito/