研究領域 | 超セラミックス:分子が拓く無機材料のフロンティア |
研究課題/領域番号 |
23H04614
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
島袋 将弥 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (40883434)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 炭酸アパタイト / 抗菌性 / 光熱抗菌 / 骨再生 / 感染制御 |
研究実績の概要 |
骨領域感染症治療では、骨組織再生と感染予防を達成するバイオセラミックスの開発が求められている。そこで本研究では、内圏型超セラミックスである炭酸アパタイトとリン酸銅とを複合化し、骨領域感染症の予防・治療を目指した超バイオセラミックスの創製に挑戦している。本年度は、溶解-析出反応により、炭酸アパタイト表面へのリン酸銅粒子の修飾に成功した。また修飾条件によって炭酸アパタイト表面に修飾するリン酸銅粒子の粒径や分布を制御することができた。リン酸銅を修飾した炭酸アパタイトは近赤外光の吸収性に優れ、近赤外光照射に応答して発熱することが明らかとなった。近赤外光の照度によってリン酸銅を修飾した炭酸アパタイトの発熱温度は制御可能であり、最大で60度程度まで発熱することがわかった。暗所下における抗菌性評価では、リン酸銅を修飾した炭酸アパタイトがメチシリン耐性黄色ブドウ球菌の増殖を大幅に抑制することを実証した。さらに近赤外光照射下における抗菌性評価では、リン酸銅を修飾した炭酸アパタイトが発熱作用によってメチシリン耐性黄色ブドウ球菌に対する増殖抑制効果を増強したことを見出した。一方、リン酸銅修飾による毒性や発熱による生体組織への影響については未解明であるため、次年度以降はリン酸銅粒子の修飾量の最適化と、細胞・生体組織に及ぼす影響について評価を行う。また領域内研究者との共同研究により、光熱変換機能を有する薄膜開発に成功し、当該薄膜のバイオ機能の探索にも着手している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、近赤外光照射に応答して光熱変換特性を示す超バイオセラミクッスを開発し、同特性により開発物の抗菌性増強を実証することができた。また、領域内研究者との共同研究も盛んに行っており、超セラミックスのバイオ機能探索に関する研究を推進している。以上により、現在までの進捗状況はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度作製した光熱変換特性を示す超バイオセラミクッスの骨形成能を明らかにするために、骨芽細胞様細胞を用いたin vitro試験および日本白色家兎を用いたin vivo試験を行う。また生体内埋入時においても、光熱変換特性を示す超バイオセラミクッスが発熱作用を示すかを明らかにする。
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