研究領域 | 超セラミックス:分子が拓く無機材料のフロンティア |
研究課題/領域番号 |
23H04616
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
原口 祐哉 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70808667)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 超セラミックス / 量子磁性 / 分子アニオン / 分子カチオン / 立体配座 / 固相メタセシス |
研究実績の概要 |
カゴメ格子化合物karpenkoiteCo3V2O7(OH)2(H2O)2の水熱合成において、溶液のpH制御により、分子アニオン[V2O7]4-の立体配座をねじれ型から重なり型へ変化させることに成功しました。この多形体の違いにより、ねじれ型は反強磁性転移を、重なり型ではスピングラス転移を示し、立体配座が磁性層の特性を制御することが明らかになりました。さらに、200℃の飽和KCl水溶液中で反応させることで、結晶水がK+およびCl-に交換され、新物質KCo3V2O7(OH)2Clが生成することがわかりました。この物質では、前駆体の形状に関わらず[V2O7]4-は重なり型を取り、これはV2O7の酸素と塩素の電子反発を最小化する構造だと判明しました。 また、ハイドロフラックス法により新物質KCoAsO4の合成に成功しました。KCoAsO4のKイオンを様々な分子カチオンに交換可能であることが確認され、分子カチオン-分子アニオンハイブリットという新しい物質探索空間プラットフォームとしての可能性を示しました。KCoAsO4については、磁化率、等温磁化および比熱測定から量子スピン液体を実現する量子模型を実現するよい候補物質となる可能性が見出されています。 さらに、アルカリ金属分子アニオン前駆体であるカルボジイミド化合物Li2NCN、Na2NCN、およびZnNCN、さらにはホスホセレナイド化合物Na2PSe3やNa3PSe4などの安定的な合成手法を確立することができました。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
分子アニオンの立体配座に戻づく磁性制御や、分子カチオン-分子アニオンハイブリットなどの超セラミックスの新たな方向性を見出すことができたが、当初の計画であるアルカリ金属分子アニオン化合物を前駆体とする固相メタセシス合成の新反応の発見には至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き固相メタセシス新反応の開拓を進める。第一原理計算を用いた熱力学的安定性に基づく反応設計を積極的に進めることで、超セラミックスを創出する新反応の発見を行う。また、前年度に見出した分子アニオンの立体配座に基づく電子状態の制御や、分子アニオン-分子カチオンハイブリット系での新奇機能性の開拓も並行して行う。
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