研究実績の概要 |
結晶性無機材料の終端である表面/界面は、構造欠陥が発生しやすいことや、電荷分離・電荷注入などのイベントが発生するため、材料・素子の性能に大きな影響を及ぼすことが多い。本研究では、適切な官能基・機能団を有した「デザイン型二面性分子」を用いて、ペロブスカイトや金属酸化物などの種々の材料表面を表面修飾し、優れた物性・機能を持つ外圏型超セラミックスを開発し、その物性・機能について研究する。 昨年度の研究では、ラダー型構造のインデノフルオレン、トルキセン、トリプチセンをコアとして有する二面性分子を合成し、そのペロブスカイト表面へのパッシベーション能力を調査した。同一の骨格で、置換基の向きが揃っていない誘導体を非二面性のコントロール分子として合成し比較に用いた。数mg/mLの有機溶媒の溶液を調整し、ペロブスカイト表面にスピンコートし、パッシベーションを試みた。全ての二面性分子で、ペロブスカイト由来の蛍光性の大きな変化を観測した。パッシベーションされたペロブスカイトを用いて太陽電池素子を作成し、その性能を評価した。その結果、パッシベーション分子無しの場合と比較し、有意な光電変換効率を達成した。また、デバイスの長期保存した際の安定性の向上も確認した。一方で、非二面性のコントロール分子を用いた素子では光電変換効率向上の度合いは二面性のものよりも低く、二面性構造の優位性が示されたといえる。これらの成果の一部を、Small Struct. 2024, 2300411に論文としてまとめた。これは、A03福井智也助教との共同研究成果である。 これらに加え、C02班 前田和彦教授とは、時間分解マイクロ波電導度測定を用いた光触媒の性能評価で、ACS Materials Lett. 2023, 5, 2355、Solar RRL 2023, 7, 2300710の2報の共著論文を出版することができた。
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