本研究課題では、半導体配位高分子を用いた、希少金属フリーの革新的CO2還元触媒を新たに合成・開発することを目的に研究を行った。特に、(1)新規半導体配位高分子のハイスループット合成、(2)開発した配位高分子のCO2還元触媒能の評価、(3)計算科学的手法による二酸化炭素還元触媒機構の解明と触媒合成の指針確立を実施した。 (1)新規半導体配位高分子のハイスループット合成:研究代表者が確立したデータ駆動型ハイスループット合成システムを活用し、効率的に条件探索空間内の実験を行い、新規半導体配位高分子を30種類合成することに成功した。特に、これまでは鉛やカドミウムなどの毒性の高い金属を含む配位高分子の合成に多く成功していた、より毒性の低い代替金属であるスズを用いた配位高分子の合成に複数成功した。 (2)開発した配位高分子のCO2還元触媒能の評価:領域内の共同研究により触媒特性の精密な評価を行った。我々が開発した物質のCO2還元光触媒特性をC02班の前田グループにて評価し、優れた選択性を持つ半導体触媒を発見した。また、研究代表者のグループで光触媒特性をスクリーニング評価する環境を整えた。 (3)計算科学的手法による二酸化炭素還元触媒機構の解明と触媒合成の指針確立:領域内の共同研究により計算科学的手法による触媒反応機構の評価を行った。我々が開発した物質のCO2還元光触媒機構の評価をB02班の辻准教授らと評価した。生成物の選択性には、配位高分子結晶表面への吸着構造が重要な役割を果たすことを明らかにした。
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