研究領域 | 行動変容を創発する脳ダイナミクスの解読と操作が拓く多元生物学 |
研究課題/領域番号 |
23H04685
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研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
山下 貴之 藤田医科大学, 医学部, 教授 (40466321)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 報酬 / マウス / 表情 / 学習 |
研究実績の概要 |
動物が見せる多彩な表情がどのような脳神経機構により形成されるかは未だよく分かっていない。私たちは、マウスが報酬予測時と報酬獲得時に特徴的な顔運動を示すことを明らかにしてきた。このような報酬関連の顔運動は洞毛(頬ひげ)と鼻に見られる。マウスに音刺激と腹側被蓋野ドパミンニューロン(VTA-DAニューロン)の光遺伝学的刺激(oDAS)との連合刺激を経験させると、音刺激開始直後に洞毛と鼻の一過性の運動が見られるようになる。oDAS自体はそれだけで洞毛・鼻運動を引き起こすが、音-oDAS刺激を繰り返すと次第にoDAS時の洞毛・鼻運動は減弱してくる。そこで、学習前後のマウスを用いて、これらの顔運動を司る一次運動野洞毛領域(wM1)からシリコンプローブ記録を行い、wM1神経の活動動態の変化を追跡することを試みた。ところが、多くの場合、複数日に渡るシリコンプローブ記録により脳が損傷を受けたり炎症が発生してしまい、記録を継続できなかった。そこで、記録は1日のみとし、学習前・学習成立直後・過学習後の3グループに分けて記録を行っている。それと並行して、報酬関連の顔運動が表情の一部であるか否かという問題が新たに生じたため、より確立された味覚刺激による表情変化に伴う洞毛・鼻運動を解析したところ、甘味刺激はoDASと似た顔運動を引き起こし、必須な神経回路も共通することが分かってきた。一方、苦味刺激は甘味刺激やoDASとは異なる顔運動を引き起こし、それを司る神経回路も異なることが分かってきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
顔運動の学習変化についてはトラブルがありながら目的の実験を進めている。それに加えて、味覚刺激に伴う顔運動の解析で新たな発見が続出しており、そちらも含めて並行して進めることで大きな成果を見込めるため。
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今後の研究の推進方策 |
当初の目的である、シリコンプローブ記録によるwM1神経活動動態の活動変化について、データが蓄積し次第解析を進める。ただ、同じマウスでの追跡ではないことから、解釈が難しくなる可能性がある。そこで、前年度に所属大学に導入された2光子励起顕微鏡を用いてwM1の同じ神経群の活動をCaイメージングにより捉え、行動の学習変化に伴う神経活動動態の変化を解析する。 また、味覚刺激に伴う顔運動の解析も引き続き行い、側坐核D1受容体とwM1の神経活動に着目した摂動実験を行うとともに、甘味皮質(anterior insula)と苦味皮質(posterior insula)の光遺伝学的刺激に伴う顔運動の解析も追加し、論文化を急ぐ。
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