研究領域 | 生体防御における自己認識の「功」と「罪」 |
研究課題/領域番号 |
23H04764
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
青木 重樹 千葉大学, 大学院薬学研究院, 講師 (30728366)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | HLA / ヒト白血球抗原 / 糖鎖 / 小胞体ストレス / β2ミクログロブリン |
研究実績の概要 |
HLAクラスⅠ分子は、β2ミクログロブリンとヘテロ二量体を形成して発現し、T細胞に抗原ペプチドを提示して免疫を制御するとされている。しかし、その古典的なHLA発現のみではないことをこれまでに見出している。特に、HLAへの修飾の一つである糖鎖に着目し、Endoglycosidase H(Endo H)で切断され得る未成熟な糖鎖発現の割合が、HLAとβ2ミクログロブリンとの結合割合の低さと相関する可能性を考えている。そこで、実際に、β2ミクログロブリンをノックアウトさせたところ、完全にEndo H感受性のHLAのみとして発現することが分かった。また、それは細胞表面上にも発現し得ることを見出し、通常の、小胞体-ゴルジ体を介した輸送とは違う経路で運ばれている可能性についても、輸送阻害剤を用いた検討から示唆している。さらに、糖鎖プロテオーム解析を行ったところ、それら未成熟な糖鎖は高マンノース型であることも確認できている。同解析から、さらにユニークな糖鎖発現についても見出しているが、その点は今後の研究により詳細を詰めていく予定である。 このような非典型的なHLA発現が免疫的・毒性的にどのような影響を及ぼすかは重要な課題である。そこで、免疫毒性に関係するHLA-B*57:01と薬物アバカビルの組み合わせに焦点を当てて研究を進めている。興味深いことに、古典的な小胞輸送の阻害剤を用いて細胞表面上のHLA-B*57:01発現をなくし、ほぼEndo H感受性のHLA発現のみにした際にもHLAとアバカビルは結合していることを見出し、このような非典型的なHLAが免疫的なリガンドとして機能している可能性を考えている。今後、それを認識し得るセンサーやリガンドとしての構造的特徴など、様々検討していく必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
HLA分子のユニークな翻訳後修飾や輸送について分子機序を明確に見出せつつあり、研究は順調に進んでいると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに見出した知見をもとに、未成熟糖鎖型HLAの免疫的意義などの解明に努める。それが可能となるようなモデルマウスの作出および解析を進め、動物レベルでの意義解明も行いたい。また、このような非典型的HLAのリガンドとしての特徴を明らかにすべく、ペプチドーム解析や構造解析などを実施し、通常のフォームとの違いを探しつつ、免疫センサーの同定に向けても研究を展開したい。
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