研究領域 | 光の極限性能を生かすフォトニックコンピューティングの創成 |
研究課題/領域番号 |
23H04811
|
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
瀧口 浩一 立命館大学, 理工学部, 教授 (70633254)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | フォトニックコンピューティング / 光情報信号処理回路 / 集積光デバイス / 光導波路 / 光フーリエ変換回路 |
研究実績の概要 |
スラブ光導波路(スラブスターカプラ)構成の小型光フーリエ変換回路を基盤とする光電融合型の光排他的論理和回路(Exclusive OR: XOR)を実現し、多ビットデジタル光信号を高速、低消費電力で一括処理する機能の実証を目指した。光XOR回路は高速光信号の暗号/復号化、誤り検出などに応用できる。具体的には、以下の内容を実施、実現した。 (1) シミュレーション、簡易実験によって、提案した光XOR回路の基本特性を把握した。 (2) (1)の結果に基づき、集積光技術を用いて4ビット入力信号用(各ビットの処理可能ビットレート:40 Gbit/s以上)の光XOR回路を設計、作製した。また、光XOR回路の周波数特性、パルス応答特性を測定可能な評価実験系を構築した。光回路には、入力光信号のビットパターンを任意に設定して、光XOR回路の評価用ランダムビットパターンを生成する回路も含まれている。 (3) 評価実験系を用いて、光XOR回路の周波数特性を測定した。また、ビットパルス応答特性の評価を、1.55ミクロン帯の40 Gbit/s光信号を用いて行った。どちらの特性に関しても、予定通りの特性が得られた。光XOR回路の出力消光比は平均約6 dBであった。 また当初の計画外の内容として、本研究内容に関連する以下の研究成果を得た。 (4) 光波の干渉とバランス受光を活用することによって、2ビット高速光信号の柔軟な可変論理処理機能を持つ光論理回路を考案、実現した。本光論理回路の作製にも集積光技術を活用した。40 Gbit/s光信号を用いて、光回路のAND/NAND処理機能を検証した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度の計画の中で、光XOR回路に関して、一部の特性(処理ビット数、出力消光比)が当初予定していた性能に達しなかったが、その他の特性に関してはほぼ予定通りの機能、性能が得られたため。また、当初の計画外の内容として、集積光技術を用いた光AND/NAND回路を実現したため。
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度の検討結果、成果を基に、2024年度には以下の内容を実施する。 (1) 光XOR演算に関して、2023年度に作製した回路を活用して、処理のさらなる多ビット化・高速化、および高出力消光比の実現を目指す。 (2) 新規内容として、スラブスターカプラ構成の小型光フーリエ変換回路を基盤として、高速多ビットデジタル光信号を一括計算可能な集積型光演算回路の実現・実証を目指す。 (3) 次段階の研究に向け、2年間の公募研究期間全体での知見、課題をまとめる。 また、領域内での共同研究、および成果の英文論文誌、国際会議、国内学会での発信を加速する。
|