研究領域 | マクロ沿岸海洋学:陸域から外洋におよぶ物質動態の統合的シミュレーション |
研究課題/領域番号 |
23H04821
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
木田 新一郎 九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (50543229)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 河川水 / 沿岸域 / 河川群 / 植物プランクトンブルーム |
研究実績の概要 |
日本の沿岸域では、複数の河川が隣り合うように存在することが多いため、降水イベントが起こると複数の河口から同じようなタイミングで河川水が沿岸域へ流入する.そして河口の周辺海域では、各河川水からもたらされた栄養塩が、水塊混合を起こしながら生物生産に利用されていることが予想される.しかしこれまでのオイラー型生態系モデルでは、混合が活発に起こる環境場で、どの河川から流入した栄養塩が、どの海域、そしてどのタイミングで植物・動物プランクトンの増殖に利用されているのかを解明することが難しい.水塊や物質が輸送される経路を直接計算していないためである.複数河川によってもたらされた低塩分水および栄養塩が、植物・動物プランクトンの成長に利用されるまでのプロセスを明らかにするためには、ラグランジアン型かつ窒素循環を追跡できる生態系モデルが必要である. そこでマルチスケールモデリング班(A04)と共同で、大規模計算が可能な粒子追跡型生態系モデルの開発に取り組んだ.このモデルは、海洋モデルKINACOにおける粒子追跡モデルにKida&Ito(2017)を一体化したものである.シミュレーションの結果が、投入する粒子数や空間解像度に依存しないようにするため、1次元の柱状モデルを用いた植物プランクトンブルームの感度実験を実施した.そしてこの新しく開発したモデルを用いて河川水の流出モデルを構築し、河川プリュームの3次元的な粒子追跡実験の構築を進めた. また物質循環の長期変化の再現に向け、厚岸湾内に水温・塩分計・クロロフィル濃度計を設置し、長期係留観測を実施した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、物理と生態系を結合した数値モデルの構築と実験を行い、再現性の検証および解析が進んでいる.また厚岸湾内にて長期係留観測を実施した.
|
今後の研究の推進方策 |
複数の河川に焦点を当てた物理―生態系結合モデルの数値実験の解析を進め、単一河川との違いを評価する.また粒子追跡モデルを用いることで水塊のラグランジアン的な動きの役割を評価する.
|