本研究では児童に対する司法面接(NICHDプロトコル)において、面接者の質問と子どもの反応との関係性や、子どもの語りの特徴について検討した。 就学前後の児童と大学生の計20名に対し、個別に調査が実施され、子ども群10名(男児6名・女児4名、M=6.9歳)と大学生群10名(男性5名・女性5名、M=19.4歳)が参加した。 研究成果として明らかになったのは、主として以下5点であった。①子どもに対する司法面接と大学生に対する司法面接はともに、司法面接で推奨される質問(オープン質問とWH質問)が多く用いられた。しかし、オープン質問は大学生に対する面接でより多く用いられ、WH質問は子どもに対する面接でより多く用いられていた。②被面接者の発話については、子どもへの面接において、沈黙や知らない・覚えていないといった回答が出現することが示された。③発話文字数の分析では、大学生に対する面接において、エピソード記憶の練習において面接者より被面接者(大学生)の発話文字数が多かった。また、本題においては、子どもに対する面接において、面接者の方が被面接者(子ども)より発話文字数が多かった。④司法面接後の再認課題では、子どもは大学生よりも正棄却率が低く、「わからない」の選択率が高いことが示された。⑤保護者アンケートと面接における子どもの語りの関係性について、「日常の報告において語りの正確性が高い」と保護者が認識している子どもは、面接内のエピソード記憶の練習段階において多く語ること(中程度の正の相関)が認められ、「日常会話でよく話す」と保護者が認識している子どもは、本題の総発話文字数・平均発話文字数ともに多くなるという傾向(弱い正の相関の傾向)があることも示唆された。
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