公募研究
古代メソアメリカ文明圏に属する初期国家テオティワカンでは、都市中心部に巨大モニュメント群が建設され、その象徴する宗教力によりメソアメリカ全域に影響を及ぼす国家機構を築いた。これを物質的に支えたのが、各地域の資源や製品をこの古代都市に集積し、それらを循環させた交易ネットワークである。しかし、紀元後6・7世紀におけるテオティワカンの覇権喪失の要因に関して、この交易ネットワーク・システムの破たんと関連付け考察する研究は乏しい。本研究の目的は、この古代国家の崩壊プロセスを説明するための新たな理論構築を行い、考古資料を基に実証することにあった。目的遂行に向け、2年の研究期間内に下記の活動を行った。①黒曜石の原産地が集中するメキシコ中央高原でのサンプリング(4か所66点)。これを基にメキシコ国立自治大学・物理学研究で利用されている原産地同定用のデータ・ベースを充実させた。②テオティワカンの「太陽のピラミッド」と「月のピラミッド」そして周辺地域に位置するトルーカ盆地の遺跡から出土した黒曜石遺物の肉眼分析(13509点)。③メキシコ国立自治大学でのXRF(蛍光X線分析)による原産地同定(302点)。④先行研究の資料批判。研究課題の結論として、周辺地域の社会発展が徐々に中央の覇権を脅かす過程を実証的に証明できたと考えている。2年間の研究成果は、英語論文1本、日本語論文2本、スペイン語論文1本(印刷中)、共同編集1冊、共同執筆3冊(2冊印刷中)、学会発表7回(日3、米3、墨1)である。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件) 図書 (2件)
Teotihuacan y el Occidente. Interaccion, simbolos de poder y procesos politicos
巻: 印刷中 ページ: 1-37
古代アメリカ
巻: 16 ページ: 85-100