公募研究
(1) イリオモテオリド-2aの全合成研究:本年度はイリオモテオリド-2aのC5-C18部分構造の立体選択的構築を達成した。まずオレフィン交差メタセシス反応を鍵段階としてC5-C18炭素鎖を揃えた後,二価パラジウム触媒を用いた立体特異的環化反応とタンデムSharpless不斉ジヒドロキシ化/分子内環化により,C5-C18部分構造に含まれる二つのテトラヒドロフラン環を効率的に構築した。さらに,C17-C18三置換オレフィンをビニルヨウ素ユニットとして導入し,鈴木-宮浦反応による炭素鎖の伸長に備えた。(2) ネオペルトリドの標的分子探索:本年度は,FGビーズを固相担体としたアフィニティクロマトグラフィによるさらなる標的分子探索(東京工業大学との共同研究)を目的とし,固相担持用リガンドと対照実験に必要な不活性リガンドの設計及び合成を実施した。我々のグループによるネオペルトリドの包括的な構造活性相関解析の結果にもとづき,C16位にアジド基を導入してアジド-アルキン付加環化反応によりFGビーズへの固定化が可能なリガンドを合成した。さらに単純なアルキンとアジド-アルキン付加環化反応を行い,成績体が強力な細胞増殖阻害活性を示すことを確認した。また,ネオペルトリドの細胞増殖阻害活性の発現にオキサゾール含有側鎖が不可欠であることを考慮し,マクロラクトン部分構造を不活性リガンドとして採用することとした。なお,マクロラクトン部分構造のみでは高濃度でも細胞増殖阻害活性を示さないことを確認した。
2: おおむね順調に進展している
イリオモテオリド-2aの全合成研究:本天然物のC5-C18ビステトラヒドロフラン部分構造の立体選択的構築法を確立した。天然物全合成及び類縁体合成に向けたスケールアップを視野に入れ,二通りの合成戦略を検討し,実践的にC5-C18部分構造を供給する方法を見出した。残りの部分構造の合成法についても予備的な検討を進めており,特にC19-C28部分構造について順調に成果が得られつつある。以上から,計画通り順調に推移していると考えている。ネオペルトリドの標的分子探索研究:FGビーズ担持リガンドその他の化合物について,独自の構造活性相関解析にもとづいて合理的に分子設計を行い,培養細胞実験系で分子設計の妥当性を既に検証した。さらに当グループで確立した天然物の短段階全合成法を応用することで,アフィニティクロマトグラフィ実験に必要な化合物全てを必要量供給し終え,共同研究者に譲渡した。以上から,計画通り順調に進展していると考えている。
イリオモテオリド-2aの全合成研究:本天然物のC19-C28部分構造の立体選択的合成法を早期に確立した後,各部分構造のスケールアップを行い,イリオモテオリド-2aの全合成を完成させる。全合成の完成後,ただちに天然物の完全立体構造の確認と化合物評価を実施し,類縁体合成や標的分子探索へ向けて研究を展開する。ネオペルトリドの標的分子探索研究:共同研究者によるアフィニティクロマトグラフィ実験を支援すべく,固相担持リガンドその他の化合物のスケールアップを継続して検討する。また,本天然物の作用機序解析を目指し,培養細胞実験系での化合物評価を進める。必要に応じて,新たな共同研究を開始する。
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すべて 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 11件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) 産業財産権 (1件)
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