公募研究
植物の光屈性のメカニズムとして、Cholodny-Went説が良く知られており、光側と影側でオーキシンの横移動が起こり、光屈性が誘起されるとしている。一方で、オーキシンではなく、光誘導性成長抑制物質が光側で生成され、光側の成長が抑制されることによって引き起こされるという、Bruinsma-Hasegawa 説が新たに提唱された。研究代表者らはこれまでにダイコン下胚軸の光屈性制御物質として、4-MTBIおよびRaphanusaninを見出し、また、重力屈性制御物質として、3,6’-disinapoylsucroseを見出してきた。また、トウモロコシからは光誘導性成長抑制物質としてDIMBOAやMBOAに着目し、それらの成長抑制作用と光屈性との関連性を明らかにしてきた。本研究では、まず、トウモロコシ芽生えにビーズをつけ、重力刺激を与えて上側組織と下側組織の成長率を調べた結果、屈曲の初期の段階で上側組織の成長が抑制されることを見出した。また、重力屈性刺激後、DIMBOAならびにMBOAの内生量をHPLCを用いて調べた結果、30分後にDIMBOAが増量し、60分後にMBOAが増量することを見出した。さらに、トウモロコシ芽生えの片側にDIMBOAおよびMBOAを投与した結果、いずれの場合も屈曲することが観測された。本研究結果は、これまでのダイコンでの研究成果と同様にBruinsma- Hasegawa 説に基づく重力屈性メカニズムの証明に貢献するものと思われる。一方で、ダイコンを用いたオーキシン極性移動阻害活性試験法を用いて天然物からの極性移動阻害物質を探索した結果、ニガヨモギから、新規活性物質としてArtabolideを見出した。天然からのオーキシン極性移動阻害活性の単離報告は少なく、屈性運動に関わるオーキシンの極性移動を調べる重要なツールとなり得るものと思われる。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Tetrahedron
巻: 69 ページ: 7001-7005
10.1016/j.tet.2013.06.052